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蛍は焦げる  作者: 愛璃
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動き出す関係

あれから大事のためにもう1日休んで、2日ぶりの部室へ。


『こんにちは〜!』


「わぁ〜!奈美ちゃんじゃん!なんか久しぶり!」


「熊井さんは奈美ちゃんに会えなくて寂しかったよ…」


私が元気よく部室に入ると皆さんがすぐに集まってきてくれた。


『皆さんのおかげで元気になりましたー!』


そう言ってお礼と言わんばかりの手作りマフィンを机に並べると、皆さんこぞって食べに来てくれる。


「ふわぁ〜、やっぱおいしい…僕、こんどまたあのオムライス食べたいなあ〜」


「何これっ!めっちゃふわふわじゃん!お店出せるよ。で、俺が全部買いしめる。」


皆さんいつも私の作るものを激褒めしてくれるから本当に作るのが楽しくて仕方がない。


今度は何を作って欲しいか、なんて皆でお喋りしながらマフィンを食べている時に、合宿中のある出来事をふと思い出した。


『あ』


「ん、どうしたの?」


『そういえば爽ちゃん、この前何言おうとしてたの?』


私がそう言うとカアッと顔が赤くなる爽ちゃん。


皆もひどく驚いて爽ちゃんに視線が集まっている。


爽ちゃんは慌てて私に今日の予定を尋ねた。


「あああ、あのさ、今日予定ある?このあと。ご飯行こうよ。えと…2人で。そこで話すから。」


なんだか様子がおかしい爽ちゃん。


とりあえず今日のこのあとの予定は何も無いため急遽、爽ちゃんと夕ご飯を食べに行くことに。


と、いうわけで私と爽ちゃんはいつもより早めに部室を出た。


『失礼しまーす』


「また明日ー」





バタン




ドアが閉まり少ししたら、もちろん残りのメンバーで持ち切りなのはあの話。


「爽ちゃんのあの慌てようってさ…」


「やっぱ皆そう思ったよね?」


「そっかあ、こうなるとついに関係変わってっちゃうね。」


「まあ、遅かれ早かれいずれはこうなる予定だったしね。」


これから中竹が奈美になんの話しをするのか他メンバーの検討はもちろん既にについていた。

これからメンバー間の関係がただの仲のいい部活仲間から恋敵へと明確に変わっていく。

これまでもそうだったが、メンバー一人一人がそれを意識して過ごしてきたかと言うとそうでもなかった。

ただただ共に楽しく部活動をしてきただけだった時期はもう今日で終わることになるだろう。

その事実を少し寂しく思いながらも、決着が見えているこの闘いに早く終わりを求める者もいれば、少しの希望を持ち続ける者もいた。

中竹からの返信を今はただ待つことしか出来ず、仲間として頑張って欲しいけれど、奈美は渡したくない…そんな複雑な気持ちで部室は溢れかえっていた。


「俺も近々告白するかな…」


恥ずかしそうに、しかし少し戸惑いながらそう言い放った熊井に皆同調する。

山崎だけはことの成り行きを見守ることしかしなかった。



爽ちゃんとの初めての二人きりでの食事はいつも通り会話も弾み、そろそろ帰らないといけないなという時間になってしまった。


結局あの話らしき話題は振られなかったから、きっとなにか言い出しづらいことなんだろう。


爽ちゃんが私を家まで送ると言い出して、その途中の公園のブランコに座って漕いでいる、そんな現状。


ここで言わなければ、きっとこれからずっと言えないだろう…中竹は意を決して口を開く。


「あのさ、、奈美ちゃん。」


月明かりに照らされて彼女はいっそう美しく見える。


『なに?』


「今日、久しぶりに会えて嬉しかった〜!風邪大丈夫だった?」


たったの2文字。されど2文字。

しかし、それは決して簡単に口から出せるものでは無い。

これを言ってしまえば、今までのような仲のいい友達関係が終わってしまうかもしれない。

これを言ってしまえば、部活仲間としてやってきた大切な仲間たちと口が聞けなくなるかもしれない。

中竹は自分の勇気のなさを思い知らされた気がした。


『私も嬉しかったよ!!』


結局、いつも通りの会話になってしまった。

漕いでいたブランコを足で止め、奈美をじっと見つめる。


「奈美ちゃん、、、あのさ、、」


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― 新着の感想 ―
[良い点] キタキタキター! 爽ちゃん!頑張れ! いよいよ、関係の変化が⁈ 目が離せませんなぁ〜
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