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蛍は焦げる  作者: 愛璃
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イベント好き

今日は一段と冷えていて、ソファに座ってブランケットを被っているのにまだちょっと寒い。


「ちょっと寒いね〜」


と、私のそんな様子を見て築田さんがヒーターをつけてくれたけど、着いたばかりでまだ部屋は寒いまま。


こういう時はおしくらまんじゅうだよね、と我ながら昭和的脳を持ち合わせているなと思ったけれど、部室でおしくらまんじゅうをするわけにもいかないし…


隣に座っている爽ちゃんと俊くんを引っ張ってきて、3人でくっついて座ってそれぞれスマホをいじる。


中竹と濱元からすればいきなり無言で想い人から引っ張られたかと思うと、くっついて座らされて何事かとパニック。

当の本人は先程同様、何事もなかったかのようにスマホをいじっている。


「え、なになに、どうしたの」


明らかに混乱しているのが顔に出ている中竹がそう問うと、


『ちょっと寒いから暖まるまでくっついててよ』


なんて言われてしまうから熱を帯びている。

今日は珍しいことにセコム(木原)のご到着はまだのようで、それを見兼ねた熊井が


「俺も寒いからくっつかせてー!」


と入っていくから築田や山浦、山崎まで便乗して狭いソファの上でくっついている。


『ちょっと、さすがにくっつきすぎです!』


なんて口では言ってるけど本当は嬉しかったりする。

暖かいし。




バンッ



勢いよくドアが開くと、


「皆!ふたご座流星群見に行こう!!…ってえ?何この状況。」


木原さんが例のごとく登場。


圧倒的デジャヴュ。


「やべっ、セコムだあ。」


「このやろ、奈美ちゃんが潰れちゃうだろっ!離れんかいっ!」


そう言われて離れていく皆さん。

あの、寒いです。


「で、今回は何を見に行くって言いましたっけ?」


達斗が少し興味を持って聞き直すと、楽しそうに話し出した木原さん。


どうやら、今年は比較的にふたご座流星群が見やすいらしくせっかくだから見に行きたいとのこと。


夏の合宿は合同合宿だったけど、今回は私たちだけでの合宿にしたいということで、その場の勢いで場所、日程、旅館を決める私たち。




けど…


「意外とするなあ…」


「あ〜、ちょっと贅沢しすぎのプランじゃない?」


「この前の準優勝の賞金でもキリキリだなー」


「あ、でもここはそんなこだわらなくてもいいんじゃないの?」


ちょっと予算がきついようで…


木原さん曰く、これはれっきとした部活だから部費だけで行くべき!

だそう。


年上組が一生懸命に考えてくれている中、私達3人もも旅館探しをしてるけど…やっぱり時期が時期だし予約いっぱいだったり。



そんな中、1人呑気そうに電話してくる、と外に出て行った山浦さん。


「ただいま〜」


「「おかえり〜」」


「うちの別荘でも使う?今一応確認してきたけど。」


しれっとそんなことを言う山浦さんだけど、いったいいくつ別荘持ってんだ。


「それだったら最初の日程でいいよね」


旅館シーズンの関係で少し遅めに計画していたのを、山浦さんの別荘使えるならと早めて三日後に決行が決定した。


「言うて山浦の別荘のほうが設備いいよね〜」


呑気に笑う築田さんだけど、別荘行ったことあるのか!


「温泉もあるよ」


『えええっ!本当ですかっ!』


その言葉に食いついたのは他でもなく私。

温泉大好きだから、嬉しい…


「じゃあこれで決定ということで、各自買いたいものとか準備とかあるだろうから今日は早めに解散しようか。」


よくよく考えれば三日後に旅行ってドタバタプランだよね、と笑いながら部室に鍵をかけて私たちは解散した。


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