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蛍は焦げる  作者: 愛璃
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歓迎ムードと

「そうとなれば歓迎会しないとね!」


そう言って木原さんは部室内の冷蔵庫からありったけのお酒と

お菓子を出して、まだ来ていない2人にお使いも頼んでいるみたい。


『え、歓迎会だなんて、そんな…!』


「いやいや、新しい部員が入ったら歓迎会は大事だよ〜!」


そう言ってフォローに入ったのは、とても優しそうな人。


「あ、僕は副部長の築田蓮つくだれんです、よろしくね〜」


「俺は熊井琉唯くまいるいです!」


「…山浦達也やまうらたつやです」


3人とも理学部の4年生。前までは築田さんが部長だったけど

木原さんの天文学の知識に感銘を受けて部長の座を降りたのだとか。


築田さんも熊井さんも背が高くて、でも2人の印象は正反対。


築田さんはふわふわした感じに対して熊井さんはがっしりした感じ。

それもそのはず、熊井さんは高校時代、ラグビー部に所属していたらしい。


山浦さんは…2人よりは少し背が低くて少し華奢な体型をしている。どこかミステリアスな感じでよくわからない。


けど、ひとつ言えることは…皆さんお顔が整っていらっしゃる!


木原さんにしても達斗にしてもそうだし、ここの天文部は何故こんなにも顔面偏差値が高いのだろうか…ますます、私がいてもいいのか自信がなくなってくる。


その後、雑談をしていると、両手にいっぱいのレジ袋を掲げてあとの二人が到着した。



「わっ!この子が噂の新入部員か!初めまして〜!1年理学部の濱元俊成はまもととしなりです!」


入ってすぐに挨拶をしてくれたのは濱元くん。少し背が小さくて私とあまり変わらないくらい。女の私よりも遥かに可愛らしい人。


「あ、僕は同じく1年で法学部の中竹爽青なかたけそうせいです!」


中竹は少し反応が遅れてしまった。なぜなら、奈美に一目惚れをしてしまったからだ。奈美の噂は木原から毎日うんざりするほど聞いているため

木原の好きな人だということをわかっている。しかし、それでも中竹は奈美に

魅力を感じてしばらく黙ってしまっていた。


あたふたと慌てた様子で挨拶してくれた中竹くんは何かと行動がいちいちオーバーで見ていて面白い。


2人とも部活ではちび2人組って呼ばれて可愛がられているみたい。確かに、

愛嬌が溢れててとても可愛い。


同じ1年生ということで私たち3人はすぐに打ち解けることができ、

そうちゃん、としくんと呼ぶとこになった。


私たちが3人で話しているあいだに年上組は既に酒の宴が始まっていて、

私たちはまだ成人していないから少し羨ましく思いながら烏龍茶を飲んだ。


『2人ともちゃんと法律守ってお酒飲まないのはえらいよね』


「まあ、ね、僕、根が真面目ですから」


ドヤ顔で誇る爽ちゃんにすかさず、前回飲んで痛い目見たからでしょと突っ込む

俊くん。


『なるほど……前回何かあったの?』


「実はね……「あっちょ、」ビール半分くらいしか飲んでないのに顔真っ赤にして、次の日にめっちゃ二日酔いしてたんだよ。」


慌てる爽ちゃんを無視して俊くんは全部話してしまった。

お酒が弱いの恥ずかしいと顔を真っ赤にする爽ちゃんはなんとも可愛らしい。


「もう23:00過ぎたけど大丈夫…?」


3人でずっと喋っていたから気づかなかったけどもうすでに時計は23:20を回ったところで、木原さんが心配してくれていた。


『そろそろ帰らないとですね…皆さん、明日からよろしくお願いします!』


じゃあ失礼します〜と帰ろうとしたら待って、と呼び止められた。


『あ、片付けもせずに帰ろうとしちゃいました…すみません気が利かなくて』


「あぁ、ちがうちがう、もう遅いから送ってくよ」


本当にどこまで優しいんだ木原さんは…。


「送り狼にはなるなよー!木原ー!」


と、もうすでに酔いが回って真っ赤な顔をした熊井さんの軽快な声で送り出された私たち。


「俺が誘ったのに全然話せなかったからさ、今なら独り占めできちゃうじゃん?」


こんな臭いセリフさえも似合ってしまうのはきっと木原さんがかっこいいからだろうな。


「どうだった?まだ今日は部活らしいことしてないけど、まあ、普段もそんなただ集まってるだけの集団って感じなんだけどさ笑」


『皆さんとても優しくてとても居心地がよくて、爽ちゃんと俊くんと仲良くなれました!』


さっきの熊井さんの見送りの言葉だって、私がずっと前から部員だったみたいに仲良くしてくれて嬉しかった。


木原さんと喋りながら歩いていると、私の住むマンションの前にはあっという間に着いてしまったようだ。


「じゃあまた明日。いつでもおいでね、俺とも仲良くしてね」


と言って木原さんは元来た道を帰っていった。


奈美と木原が出て行ったあと達斗が、

「奈美、さらに綺麗になったよな…」

ポロッと口に出してしまったその言葉で、勘のいい山浦と築田が達斗の気持ちに気づく。




二人とも、達斗が今も奈美に惹かれる理由は容易く理解できた。


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