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蛍は焦げる  作者: 愛璃
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運命の結果発表

徳進祭2日目。

今日は学部対抗の部!


「うわ〜、最悪やん、終わった。」


「「「「あははは!」」」」


トーナメント表を見て悪態をつく達斗とそれを笑う皆さん。


何を隠そう1回戦目に私たち外国語学部と達斗の人文学部が当たることになっているのだ。


対する木原の経済学部と他メンバーの理学部が1回戦で勝ち上がれば当たることになる。


案の定、外国語学部が1回戦突破。


達斗ってば…あんなに運動できなかったなんて知らなかった。


経済学部と理学部も無事1回戦を勝ち上がり、次の試合で当たることになった。


「あのさ、昨日の時点で気づいてたけど奈美ちゃん強すぎない?」


『この調子でどんどん倒していきますよ!』


宣言通り、2回戦でも私はバチバチに活躍して見せた。


そして注目の経済学部VS理学部の勝負の結果は、理学部の勝利で終わった。


木原さんが活躍してはいたけど、それ以外の人で運動が特別できる人が1人くらいしかいなかったのに対して、熊井さん、築田ん、俊くんがいる理学部との差は雲泥の差。


あっという間に決着が着いてしまった。


「くっそーーー!!!そっちばっかいい人材集まっててずるいんだよなー!」


「まあ?熊井さんがいれば勝ち確と言っても過言ではないかな?」


「とか言って僕達、昨年も一昨年も外国語学部に負けてるんだよなあ」


次勝てば決勝で私たちが当たることにはなるが、もう既に決勝で当たる話をしている皆さん。


「例年なら留学生が本当に強いだけなんだけど、今年はね…」


と築田さんが言うと、皆さんが私の方を見る。


『?』


とりあえず結果だけ言ってしまうと私たち両チームとも勝ったので決勝で当たることになった。


決勝はお昼ご飯のあとで行われるから一旦部室でお昼ご飯を食べることに。


「じゃー、何か買いに行くけど何食べたいー?」


熊井さんが決を採ろうとするのを止めて、私は大きなバッグを机の上に置いた。


『実は皆さんのためにお弁当作ってきたのでよかったらこれ食べませんか…?』


そう言うと、パアッと顔が明るくなりバッグを開けて中身を出す木原さん。


「うわ、うまそーーー!!!いただきまーす!」


大きな弁当箱を1人で食べようとする木原さんを皆さんが止めて、改めてみんなで合掌。


おいしい、おいしいと食べてくれるから嬉しくて舞い上がってしまった。


事前に好きなお弁当の中身の話をそれとなくしておいたからそれぞれの好きな食べ物が入っている。


突然爽ちゃんがハッとなにかに気づいたように食べるのを辞めて


「まさか…これで僕達にこのあとの試合負けろって交渉しようとしてるんじゃ…」


※そんなことしません。


楽しいお昼休憩を終え、いよいよ試合は終盤、決勝戦へ。


予選で負けた木原さんと達斗はなぜか外国語学部の応援席で私たちのことを見守っている。


ジャンプボールで、最初のボールを手にした私たちはその後、試合を有利に進めていく。


(築田さんの女の子への当て方が紳士すぎたから私は思いっきし当ててやった!)


すると、ここで2個目のボールが追加される。


え!そんなこと聞いてない!


決勝戦ではボールが2個で行われるルールらしい。

ハードすぎる…


1つのボールしか追えてなかった私に、


「奈美ちゃん!危ないっ!」


声の主の方へ振り向き、そのまま避けきれずに思いっきり顔にボールが当たり、その衝撃で倒れ込んだ私。


大丈夫!?と駆け寄る声など無視して、ムクっと起き上がり


『顔面セーフですよね!!』


と聞くと、いやアウトですと返ってきたから大人しく外野へ向かった。


同時に内野へ入ってきた熊井さんに死ぬほど謝られ(実は熊井さんに当てられたのだ!)、仕返しに何度も熊井さんを狙ったけど全然ダメ。


私はその後、1人当て内野に復活するも試合終了。


結果は、人数差を圧倒的に付けて私たち外国語学部の優勝となった。


試合終了後そのまま表彰式が行われたため、ずっとそわそわしていた木原さんがその後すぐに私を担いで保健室へ向かった。


大丈夫だって言ったのに…。


氷を貰って顔を冷やしていると、皆さんが保健室へ駆け込んできた。


「奈美ちゃん、おめでとうっ!」


「すごいよ奈美ちゃん!」


顔を冷やしている人間に言う言葉ではないよなと思っていると、どうやら私がMVPに選ばれたそう。


すぐに体育館に戻って表彰を受けると暖かい拍手が湧き起こる。


それがちょっとくすぐったかった。


各学部の打ち上げに出ることなく部室に戻り、ソファに倒れ込む皆さん。

どれだけ部活が好きなんだ…私もこれはブーメランだな。


「奈美ちゃんがMVPなのは嬉しいけど、俺的にはご褒美貰えなくなったのが残念。」


木原さんがそう言うと、

「もともと一回戦敗退の時点でそれは無理でしょ」


とツッコミを入れる山浦さん。


「はあああ〜、僕の旅行があ〜」


「ご褒美が〜」


なんて皆さんがっかりしているから作っておいたクッキーを手渡した。


「え!これ実質ご褒美じゃん!」


と喜ぶ姿はまるで5歳児…でもそれがまた可愛い皆さん。




もちろん、MVPで手に入れた旅行券はもえきょんと使わせてもらいました!


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