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蛍は焦げる  作者: 愛璃
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隠蔽作戦

今日は徳進祭前日ということで、部室に集まって作戦会議を開くことになった。


今まで人数が足りてなかったから今年が初参戦の私たち天文部。


今は木原さんが抽選会に出ていてその帰りを待っている。


毎年優勝を争っているのは野球部とバスケ部なんだよと山浦さんたちが私たち年下組に説明をしてくれていた時だった。



バンッ



ドアが勢いよく開いたかと思うと木原さんが見事なスライディング土下座を決めて入ってきた。


「皆!ごめん!」


渡された紙は明日のトーナメント表で…


「はあ!?1回戦からバスケ部とぉ???」


熊井さんがとびきり大きな声でそう叫ぶ。


「やー、ごめん。本当にごめん。これはね〜、俺が悪いわ笑」


「天文部、一回戦敗退!」


「ちょっと山浦さん、フラグ立てるのやめてくださいよ!」


とりあえず作戦を立てよう!と築田さんの言葉で皆さん向き直り開始。


私たちの作戦は、


内野チーム:木原さん、熊井さん、山浦さん、達斗、爽ちゃん、そして私。

外野チーム:築田さんと俊くん


という感じで中と外に運動できる組を分けるという策。


「熊井さんと俺ができるだけボールとるから…あとは……頑張れ。」


「僕達への期待はゼロですか!?」


木原さんは誰とは指名していないのに一番に反応した爽ちゃん。


とは言っても彼はちょこまかと逃げるのが得意そうだけどなあ。


「外は僕達に任せて!」


祥くんと築田さんがそう笑顔で言っているけど、正直ふわふわと笑うあの二人がスポーツ全万能なんて誰が思うだろうか。


所謂、ギャップ萌えってやつ?


「あれ、ユニフォームってどこだっけ」


達斗が探しているのは、せっかくだからと1週間前に発注したお揃いのユニフォーム。


どこかで見た気が…


「あー、あのダンボールそれだったのか、邪魔だからそこのロッカーの上に乗せておいた!」


「熊井さん、その邪魔だったらロッカーの上に置く癖、そろそろやめてもらえない!?」


皆さんよりちょっと背の低い俊くんが噛み付く。


ロッカーってあれか、と皆さんが話している間に私は椅子を持って行ってそのダンボールを取る。


思ったよりも重たくておもわずバランスを崩して着地。


ガタンッ


椅子が倒れた音がして皆さんが振り向く。


『えへへ…えっと、これですよね?』


サアーッと木原さんの顔色が青くなっていって


「大丈夫!?今の、どこも怪我してない?」


一生懸命に心配してくれる木原さんだけど、実は今のでたぶん足ひねっちゃいましたなんて言えない…。


『大丈夫ですよ〜!それより早くユニフォーム見たいです!』


皆さんの足は引っ張りたくない!


その一心で私はじーんとする痛みは我慢して、その後も顔色ひとつ変えることなくすごした。


早急に話題を変えようとしたのが悪かったのか、築田さんは私のことをずっと見ていた。


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