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蛍は焦げる  作者: 愛璃
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賭け事は男のロマン

清陵祭が終わったと思ったら今度は徳進祭(スポーツ大会)の準備で学内は盛り上がるっている。

こちらも清陵祭と同じく2日間行われる行事で、1日目はサークル、部活対抗、2日目は学部別対決となっている。

例年、8人からの参加となっているサークル、部活対抗の部では人数が足りず天文部の参加はできていなかったため今年が初の出場となる。

競技は年によって順々し、昨年はバスケットボール、今年はドッヂボールとなっている。

男女混合で行われるとはいえ、相変わらず女子の参加人数は少ない。


木原たちはなにやら悩んでいた。

念願のサークル、部活対抗の部に参加できるとはいえ、それは奈美が出る場合の話。

生憎、彼女自身は張り切ってはいるが天文部のメンバーはみな猛反対。

我らの姫に傷がついたらどうするのだ!そのような考えのせいで。


『今年の競技はドッヂボールみたいですね!2週間前だっていうのにもうワクワクしてきました!』


各学部で全講義後の練習が許されているから、行事が大好きな陵大生は必ずそれに参加するために部活はお休みのはず。


けど、相変わらず私たちは練習で疲れたあとも部室に集まって談笑をしている。


「奈美ちゃん、本当に出るつもりなんだね?」


『もちろんですっ!』


「毎年優勝争ってるバスケ部とか野球部とかと当たるかもしれないのに?」


『もうばっちこいって感じですよね!』


シュッシュッシュッと何故か乗り気でパンチの体勢の奈美を見て、なおも心配するメンバー全員。

今日がエントリー受付の締切日なのだが、結局出せないまま、今日まで来てしまった。


「奈美ちゃんが本当にいいって言うならエントリーしちゃうよ?」


『はい!もちろんです!皆さん頑張りましょうね!』


私はノリノリで皆さんとハイタッチをして回る。


運動神経には自信がある方でドッヂボールなんか大の得意。


友達とディナーに行く約束をしているから早く帰りますと言って、そのままエントリーシートを奪って私は部室をあとにした。


奈美のいない部室では何やら秘密の会話。


「はぁ…奈美ちゃんがあんな乗り気ならダメとか言えないよな〜」


「まあまあ、もうエントリーしちゃったことだし」


「心配だぁ〜」


それぞれが口に出す話題はもちろん奈美のことばかり。

ここで熊井がある提案をする。


「せっかくだからさ賭けでもしない?奈美ちゃんからのご褒美をかけて!」

「賭け…となるとサークル対抗じゃなくて学部別の方ってことですよね?」


珍しく山崎が一番に反応した。


「え、いや、理学部優勢すぎません?MVP取った人にしよーよ」


もちろん木原もこの話にはノリノリだ。


「MVPかぁ〜…難しくね?」


「濱元は中高バスケ部だから運動できてずるいだろ!」


「そういう爽ちゃんは何部だったのかな?」


「帰宅部だよ!!!」


ちび2人組のコントに笑うメンバー。


「というか、MVPとか無理だよ〜、だいたいサボる予定だったのにさ〜」


「山浦はなんでもサボりすぎ!」


でも、そう言うってことは参加する気なんだね?と聞く築田にさあ?とだけ答える山浦。


「本当に運動できる組はいいけどさ!ずるい!!」


そう言いながら木原、熊井、築田、濱元を指さす中竹。


「うるさい〜もう決まったことですぅ〜」


「そうだそうだ〜」


明日奈美が来た時にこのことを伝えようと言ってこの話は1度終結したが、次の日奈美が部室に訪れることはなく("疲れて帰っちゃいました〜")、メンバーはもう1日そわそわして待つことになった。


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