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蛍は焦げる  作者: 愛璃
31/56

目的は達成

今日は朝早くから駅前で待ち合わせ。

なぜかって?


ついにやってきた週末!

もえきょんと愛斗さんと4人で某夢の国へ行く日だから!


「おはよー!奈美ちゃん久しぶりー!」


『あ、おはようございます!』


「奈美ちゃーん!」


『きゃー!もえきょーん!!』


明らかに俺の時と喜び方ちがうやん、と言う愛斗さんのセリフに笑って一同は某夢の国へ。


まずはお揃いのカチューシャを買ってみんなで写真を撮った。


私は大好きなキャラクターのカチューシャが手に入って大満足。


楽しい雰囲気もつかの間…


「ちょ、もういいやろ?」


「そろそろ可愛らしい乗り物にでも…」


へ?絶叫系がだめな男ふたりに対してケロッとしている私たち。


一旦休憩も兼ねて昼食を食べる。


「こら!奈美ちゃん!バイキングだからってケーキばっか食べない!」


『えー!別にいいじゃないですか!木原さんだって野菜少ないくせに…』


そんなやり取りをしていると横でもえきょんがふふふと笑って仲良いねと私たちに言った。


まあ、確かに仲良いとは思ってる!


午後も奈美たちは懲りずに絶叫系の列に並んでいる。


『あ、すみません、ちょっと御手洗に…』


木原たちだけに並ばせておくのも気が引けるが奈美はトイレに行くために1度列から離れた。

少ししてから、愛斗が急に何かを思い出したかのように飲み物買いに行ってくると行って同じく列から抜けていった。

木原はその挙動の不審さに疑いを抱きつつも、


「早く戻ってこいよ」


と声を掛けてその背中を見ていた。


「わ!!!」


『わあ、びっくりした、愛斗さんかあ…』


愛斗が向かった先は他でもなく奈美のところ。

木原たちの待つ場所へ向かおうとしている奈美を後ろから捕まえる。


「ね、ちょっと来て!!」


木原さんたちのところに戻らないと、と私が言ってもいいからいいから!と楽しそうな顔で私の手を引く愛斗さん。


着いた先は観覧車で、確か行きの電車の中で乗りたいと言っていたものの一つ。


「俺は絶叫系無理やから、これだけでも一緒に乗りたくて連れてきちゃった!」


舌を出して可愛く言っている愛斗さんはさながら弟のようで、そのまま2人で観覧車に乗ることに。


いざ乗ったはいいけど話すことが特にある訳でもなく静かになるゴンドラ内。


パークを上から一瞥できるこの乗り物の利点を使って次はあれに乗ろ〜なんて呑気に考えていた。


「おっそいなあ…」


不安げに携帯を何度も見る木原。

並んでいて時間ももったいないからともえと2人だけで乗ることした。

アトラクションが終わって出口に行っても奈美たちの気配はなく、入口の方まで見に行ってもその姿はない。

あの挙動不審がなにか仕出かしたのだとさすがに思い、木原は電話をかけた。


「おっと、ついにばれたか」


ゴンドラ内に鳴り響く着信音、電話の主を私に見せながら笑う愛斗さん。


私たちの乗るゴンドラはちょうど今、ゆっくりと中間地点を超えたところだ。


「おい!愛斗さん、今奈美ちゃんといるだろ!」


電話口で木原さんの大きな声が聞こえ、思わず笑ってしまう。


「今下りだしたから出口で待っとって〜」


呑気にそれだけ言って愛斗さんが電話を切り、私に向き合った。


「本当は今日、奈美ちゃんと2人だけで遊びたかったからさ、清陵祭のあと空いてる?」


私が予定を確認すると、じゃあそのあとに奈美ちゃんのこと攫ってくねなんてキザなことを言い出す愛斗さん。


観覧車はもう地上に着いてしまって、ゴンドラのドアが開けられる。


木原さんたちと合流した後、


「奈美ちゃん!知らない人にはついて行かない!」


『はーい』


「おいこら」


木原さんに叱られてしまったけど、なんだかんだ楽しかった。


そのあと、優しいもえきょんが皆が楽しめるアトラクションにでも行きますかと言ったから午前中よりも優しめな乗り物に乗ってあげた。


最後の記念写真を撮ってパークをあとにした私たちは、駅でお別れ。


さよなら〜と別れたあとに送られてきたメッセージを見て私は思わず振り返った。


"清陵祭のあとの話は天文部の人達に秘密ね☆"


愛斗さんは人差し指を口に当て、私に向けたウインクを決めた。


ほう、かっこいいじゃないか…笑


木原さんと2人だけでの帰り道では案の定、愛斗さんとの観覧車で何があったか詳細を聞かれた。


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