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蛍は焦げる  作者: 愛璃
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今日イチ

今日は部活の時間までという短い時間だけど築田さんと遊びに行く日。


私があの状況から逃れたいがためにその場で提案した映画鑑賞だけど、ちょうど面白そうな映画を見つけたからそれにしようかな。


「奈美ちゃんが見たいやつがいいな〜」


とか言ってたし。


『こんにちは!』


待ち合わせ場所で築田さんを発見して声をかける。


築田さんは長身だから見つけやすくてこういう時に助かる。


今日この映画を見ようと思ってるんですけど、と私がスマホを見せると2人の距離が縮まってドキッとしてしまった。


「楽しみだー」


心做しか浮き足立っている築田さんはなんだか珍しくて可愛らしく感じた。


私が興味を持ったのは泣けると噂の感動もので、映画に熱中しすぎて案の定ボロ泣きしてしまった。


映画が終わって顔を合わせると2人とも目が赤くなっていて笑ってしまった。


恥ずかしながらも私のお腹が鳴ったところで劇場を離れてランチを食べに行くことに。


もともと、大きなショッピングモールの最上階の映画館だから、出るとすぐ下の階のレストラン街から漂ういい匂い。


パスタが美味しいお店で相変わらずグラタンを食べた。


会計の時、スマートにお金を払われてしまったからお茶代は払わせてもらうことにした。


その約束で大学近くのいつものカフェでデザートを食べながらお喋りをしていた。


気づいたらあっという間に時間が経っていて、皆さんとの約束の時間もとうに過ぎていた。


私の着信音ではない携帯が鳴って築田さんが電話に出ると熊井さんと木原さんの大きな声。


「もう夕方だぞ!そろそろ戻って来なさーい!!」


「独り占めはずるいっすよ!今日は築田さんの誕生日会するんですよー!」


確かに誕生日の人間を独り占めしてしまった私はいくら本人から誘われていたとしても狡い人だ!


「うるさいセコムだなぁ」


そう笑いながら電話を切る築田さんに、


『すみません、私、築田さんのこと独り占めしてましたね…!』


そう謝ると築田さんは今日1番の笑い声を上げた。


築田さんが部室のドアを開けると、


『「「「おめでとう!」」」』


声と一緒に響くクラッカーの音。


「ありがとう」


築田は幸せしそうに笑った。

プレゼントをそれぞれから渡されて心が満たされたのは確かだったが、何よりも奈美とデート出来たことが今日一番の幸せだったというのはもちろん秘密。


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