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蛍は焦げる  作者: 愛璃
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前日は浮かれがち

今日は金曜日で、濱元と中竹はいつにもなくソワソワしていた。

理由は簡単で明日から奈美の家でお泊まり会が行われるからだ。

もちろんのこと、今日も大会のための準備で皆大忙しだ。


大会はもう目前。だいたい、2週間前から取り掛かるなんて遅すぎしないか、そんな風に考えていながらも年上組の動きぶりを見てこれで間に合うという考えを持つ木原に感心するばかりであった。


「今日そこ2人はなんでそんなに浮ついてるんですか?」


山浦がそう問うと


「明日がお泊まり会だからです!」


小悪魔的な笑みを浮かべてそう言う濱元を見て、なんて可愛らしいんだと奈美は思っていた。


「奈美ちゃん、またこのリストの本よろしく頼んでもいい?」


私はできるだけ急いで部室を出た。


少しでも役に立てるように!

これは私だけに振られたお仕事だから!


また私はラベルを探っていく。


その頃、部室では


「奈美ちゃんって本当に本を見つけてくるの早すぎるんだけどなんでだ」


「本が大好きだからですよ」


木原の問いに山崎が答える。

俺は知らないことばかりなんだな、木原は奈美と自分との距離がまだ遠いと感じた。


今日も皆集中しきっていて、日はあっという間に暮れてしまっていた。


「あー、腹減ったあー奈美ちゃんなんか作ってー」


熊井さんがそう言うと、爽ちゃんと俊くんが


「ダメーーーーー!」


と止めに入った。


「来週からならいいですよ、」


まあなんかよくわからんが来週から作ってもらお、熊井さんはそう妥協したけれど2人が止めた理由は私にもわからない。


私が疑問に思っていると、あとでこっそり爽ちゃんが教えてくれた。




「僕たちが先に奈美ちゃんの手作りご飯食べたいんです」





今日は木原さんは用事があって先に帰ったため、築田さんが私を送ってくれた。


時間が遅いからといつもメンバーの誰かしらが私を家まで送ってくれる。

そのかいあってか、私は怖い思いも寂しい思いもせずに家まで帰ることが出来る。


「奈美ちゃんってさ、」


突然何を聞かれたかと思うと築田さんが聞いてきたことは、珍しく子どもじみたことをだった。


「最初の方にクッキー作ってくれたじゃん。あれ一番に食べたのって僕だから、実質僕が一番最初に奈美ちゃんの手作り食べたことになるよね?」


さっき爽ちゃんが言ってたの聞いちゃった、なんて笑顔で言う築田さんも年上の方に言うのは失礼かもしれないが可愛らしい人だ。


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