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蛍は焦げる  作者: 愛璃
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尊敬と愛と

その日の夜は案の定、酒の宴。


木原さんも築田さんも珍しく泥酔している。

愛斗さんはお酒が弱いらしく1杯も飲みきっていないのにもう何杯も飲んでいる木原さんと並ぶほどにフラフラ。


お酒に強いらしい達斗と千賀さんは飲み比べの真っ最中。


「愛斗さん、酒に酔ったときの絡みめんどいから気をつけてね」


もえきょんが私と俊くんにこっそりそう言った。


「あの人、めっちゃ投げてきますからね。俺なんか何回投げられたことか…」


と、話す冬くん。


「あ、あとセクハラ親父なみのべったりくっついて話してくるから、そういう時は思っきしビンダしてやっていいからね!」


そんな話をしているとご本人登場。


「おいお前ら〜、さっきから聞いてっと俺のこといいやがってぇ〜」


明らかに呂律の回っていない愛斗さんについで、木原さんもやってくる。


冬くんはどうやら木原さんに憧れているようで、近くに来るだけでふぁーと間抜けた顔をして見せるから見ていて面白い。


それよりどうして木原さんのことを冬くんが知ってるのだろうか、


「冬くん、なんで木原さんのこと知ってるの?」


「え!?この業界にいるのに知らないなんてあるの?

だって木原さんは……むぐぅっ」


冬くんが本題を言おうとしたら、俊くんがそれを阻止した。


「冬くん、これはしーです。

奈美ちゃん、これは今回の合宿の後に判明すると思うよ」


今すぐ知りたくて仕方がないが、後で知れるならその時に説明してもらおう、とその話は流した。


「ね〜ぇ、奈美ちゃんさ〜、こっちの大学においでよ〜」


おっと、ここで愛斗さんが例のセクハラ親父なみのべったりで私に絡み始めた。

私はさきほどもえきょんに言われた通りに無言でビンタをした。


パチンッ


という乾いた音が。私たちが今いるリビングに響く。


愛斗さんは状況が掴めない顔をして、もえきょんと冬くんはしきりに笑っている。


「ちょ……奈美ちゃん…笑笑」


「あ〜、面白い、本当にやってくれるとは思ってなかったよ笑」


どうやら私は、冗談を真に受けて愛斗さんのお顔をビンタしてしまったのだ…!


木原さんも唖然としていて……


それはやってしまった。


しかし、愛斗さんは正気に戻ると


「おかげで目が覚めたわ、さんきゅーちゃん♡」


と優しく流してくれたーーーー


ちゅっ


私の頬に触れた愛斗さんの唇。


「お礼にちゅーしちゃった」


愛斗さんが可愛くウインクをすると、今度はもえきょんが反対側の頬をものすごい勢いでビンタしたのは本当に面白かった。


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