その8〜人の話を聞けっての〜
アクセス解析を見ていたらあることに気がつきました。
このお話をご覧になってくださっている皆様には心から感謝しているのですが、
ただひとつだけ、お願いしたいことがあります。
私が以前投稿した作品は、見ないでください!
黒歴史の塊です!先の展開も何も考えずに書いてしまいました!うわあああ!!
でもこういう風に禁じられた行動ほど逆にやりたくなってしまう人間の心理を、カリギュラ効果といいます。
分かってはいるのですが…。あぁ…。
「はああああああああああ!!!!」
村はずれの丘の上からは、絶えず叫び声が響いてきていた。
シュウが頂上を見上げて言う。
「どうやら人がいるようですね。6人組です」
「それだったら多分…」
リッカは早速萎えてきた。この声には聞き覚えがある。まさか彼も来ているとは予測していなかった。
「はあ、はあ、中々抜けないな…。あれ?3人とも!君達も来たのか」
丘の頂上には人1人の身長分はありそうな巨大な岩が鎮座していた。そのてっぺんには鎧をきた少年が立ち、何やら踏ん張っていた。
額に浮かんでいた汗を華麗に弾きとばしながら、少年が振り返る。
「誰だお前は」
「獅子峠レオだ!もう忘れたのかい⁈」
レオはそこから飛び下りようと岩の端に寄ったが、意外に高かったらしく、大人しく両手を使って下山して来た。
そして何事も無かったかのように髪をかきあげて高らかに笑う。
「まあいい。いずれは俺だって名の知られた勇者になるのさ。手始めに、あれを抜こうと思う」
レオが指差した先には、巨大な岩に深々と突き刺さった一本の剣があった。
息を呑むほどの美しさである。
長い間雨風に晒されてきたにも関わらず、鋭い刀身は磨き上げられたかのように光輝き、柄に嵌った赤い宝石は魅力的にきらめいている。
あれこそが、この村に伝わる伝説の聖剣だ。
「一度抜けなかったのなら無理だと思いますけどね。選ばれし者にしか剣は答えませんよ」
リッカは思わず口に出していた。しかし、レオは機嫌を損なうことなく、親しげにリッカの肩を叩く。
「まぁ、やってみる価値はあるだろう?少しずつ、『あいつ』にも分からせてやる。俺にも勇者になる資格はあるってな」
溢れ出す主人公感に危うく惚れそうになるリッカだが、つい昨日この男がゴブリンの群れに大惨敗を喫していたことを思い出した。
「俺は少し休憩するよ。君達も挑戦してみるといい、抜けなくてもがっかりしなくていいからね」
やたらと上から目線のアドバイス(?)を残し、ヘタレ勇者は丘の向こうへ降りていく。
少し歩いてはふらつくその様子は、少しどころの休憩では足りないのではないかと思わせる。
どうやらリッカと兄妹が来るまでに、相当必死に聖剣を抜こうとしていたようだ。考えると泣けてくる。
「それではまずは私から挑戦させていただきます」
「頑張れ妹!」
行動の早い兄妹である。リッカとヘタレ勇者が話しているうちに、軽々と岩の上に登っていた。
「ハッ!」
気合いのこもった掛け声と共に、シュウは握った柄を上へ引き上げる。
レオの時とは違い、その小さな体躯の隅々まで力が行き渡っているのが分かる。
「むむむむ…駄目です。私の力では抜けません」
しばらく力を込めたのち、少女はそう言って柄を離した。悲しげに肩を落とすシュウの頭に、ケンが手を置いて慰める。
「大丈夫だ。俺が必ず抜いてみせる」
「ありがとうございます。お兄様」
今度はケンが剣の前に立つ。(駄洒落みたいになったのは偶然である。信じてください)
ケンはレオや妹の奮闘を見ていなかったのか、妙な格好で構えた。
ヤンキー座りのように剣の前で腰を下ろし、剣の鍔をすくい上げるように両手で掴む。
このまま立ち上がれば、腕力だけでなく膝のバネの力も全て剣を抜く方向に使うことが出来る。
極限まで引きつけられた筋肉が、一気に膨張した。
「ハアッ!!」
鍛え抜かれた青年の肺活量である。掛け声は丘一面に響きわたった。
そのあまりの迫力に、思わずリッカも獅子峠一行も一歩後ろに下がる。
「うおおおおおおおお!!!!」
レオの時もシュウの時も一向に抜ける気配のなかった聖剣は、やがてミシミシと音を出し始めた。
全員が今度は前のめりになって経過を見つめる。
「うううううううううわあああああ駄目だっ!!」
叫びが絶叫に変わった頃に、とうとうケンも力尽きた。聖剣に寄りかかって荒い呼吸を繰り返す。
「全く抜ける気配がない…。何故だ」
「聖剣は選ばれた人間にしか抜けないんだ」
「並大抵の力では抜けないということですね」
「全然そう言うことじゃねえよ聞けよ」
「これまでに剣を抜く直前までいった人間はいないのか?」
「いないよ。面白半分で抜こうとした人はたくさんいたけど、みんなビクともしなかった」
「これを抜くのにはどれほどの力がいるのでしょうか…」
「牛を五頭と大人20人が一緒に引っ張っても抜けなかったんだ。そもそもこれは魔法の力なんだから、力技でなんとかしようとするのが間違ってるんだよ」
「いっそ岩の方を砕いてしまおうか」
「駄目だよそんなの!聞いてってば!」
リッカの訴えを歯牙にも掛けず、兄妹は試行錯誤を繰り返す。獅子峠一行はとっくに聖剣を抜くのを諦め、揃って寝転がり空を眺めていた。
「とりあえず、もう一度やってみよう」
ケンが再び立ち上がり言った。体力はもう回復したらしく、呼吸も落ち着いている。
リッカは呆れて首を振る。
「魔法の力は絶対だよ。例外はない」
「ですが今度は、2人で、です」
「いやキメ顔で言ってるけど何の説得にもなってないからねそれ。噛み合ってないよ会話」
兄妹はそれぞれ向かい合い、剣の脇に立つ。先程ケンがやったような方法を兄妹で両側から行うらしい。
2人は視線を交わしてうなずきあう。
「行くぞ妹」
「了解です兄上」
合図は要らなかった。
何とブックマーク二件いただきました。
面白い話を書けるように、引き続き頑張っていきます!
よろしくお願いします!