その4〜人の話を聞こうよ〜
今日暇なんです
「俺達が倒す!村人の皆さんはすぐに逃げて!」
真っ先に動き出したのは獅子峠レオだった。
腰に刺した大仰な剣を抜き、構える。
(構える位置が結構低い。重いのかもしれない)
村人達は勇者の勇敢な言葉を聞き、それぞれ食堂の出口へ殺到する。
リッカは安堵を顔に浮かべた。
「良かった。3ヶ月前に召喚された勇者様が何とかしてくれるみたいだ。ケンもシュウも、早く逃げよう!」
「ごぶりんとは何だ」
自分も出口に駆け出そうとしたリッカはつんのめる。
ケンもシュウも、まだ席についたままだ。
シュウに至っては、今にもよだれを垂らしそうな表情でパンを見つめている。
リッカはその場でもどかしそうに足踏みをする。
「後で説明するからさ〜、今はとりあえず逃げようよ〜。殺されちゃうって」
「ごぶりんは、もんすたーなのか?」
「そんなの皆の反応で分かるじゃないか。ほら、シュウちゃんも、後でいくらでも食べれるからさ」
ケンが突如立ち上がった。パンに伸ばしかけていたシュウの手を掴む。シュウは驚いて兄の顔を見上げる。
「ということは、ごぶりんも食えるぞ」
兄の表情は勇ましい。しかしその口の端によだれが出ていた。
「ごぶりん狩りだ妹」
虚ろだったシュウの瞳にも、やがて鋭い光がともる。
兄に負けない勢いでシュウも立ち上がった。
「参りましょう兄上」
2人は拳をぶつけ合うと、元気よく食堂を出て行った。
取り残されたリッカは呟く。
「なにこれデジャヴ…っていうか、」
外からは悲鳴に混じり恐ろしい唸り声が聞こえてきた。
「ゴブリンって相当なゲテモノだけどなぁ…」
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