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異世界駆ける武闘派兄妹〜人の話聞かん〜  作者: はなまるドクメンタ
17/20

その17〜人の話を聞きませう〜

決着が着きます

黒髪に黒い瞳の好青年。いささか顔色が悪いが、服の上からでも分かるほどの鍛え上げられた肉体は、溢れんばかりの闘志でみなぎっている。


白い髪に隻眼の少年。無邪気な表情と禍々しい様相が共存している。複雑な構造の衣服には、様々な暗器が隠されている事だろう。


向かい合った2人は、動こうとしない。周りの観客も、沈黙を保っていた。

均衡状態が永遠に続くかと思われたその瞬間。


どこかで誰かが屁をこいた。


「はあっ!」「…っ!」


猛々しい気合いと静かな吐息。

正反対な2人が同時に飛び出した。


観客たちのざわめきに紛れて少女の叫びが響く。


「兄上!」


それは少女が兄に向けた声援だったのだが、約1名、気を取られた者がいた。

暗殺者、ナハトである。


少年は先程目にしたことのないシュウを話題にした。

それはケンを挑発するための文句だったが、油断していたのだろう、彼は頭の片隅で、目の前の偉丈夫の妹について、考えてしまったのだ。


それも致し方ない。彼は一度ケンに対し勝利を収めており、今度はしかも毒が回った状態での戦いなのだ。

気が抜けても仕方がない。


そもそもナハトは裏社会の住人。立派な信念など持ち合わせていないのである。よってこちらに対し全身全霊で向かってくるケンへの礼儀だって、これっぽっちも無いのだ。


丸腰の相手に毒ナイフを使ったのもその一環である。卑怯上等。「卑怯だ!」と訴える敗北者に対し、「知らねぇよ、馬鹿が」と答えるのが、ナハトの楽しみの一つでもあった。


そんなこんなでつい勝負相手から目を逸らしてしまったナハトは、その視界にシュウの姿を捉えた。


結果。


「え…。めちゃくちゃ可愛いんだけど」


そう漏らした彼の腑抜けた顔面を、大きな拳が撃ち抜いた。


華奢な少年の体は吹っ飛んで、硬い石畳の路上に叩きつけられる。

全員が唖然としていた。いや、1人を除いて。


「勝ったあああああああああああああああ!!!」


勝利の雄叫びをあげるケン。

観客たちは何も言わず、ただケンだけが喜びに打ち震えていた。

我に帰ったナハトがふらふらと立ち上がり言う。


「違う!今のは違う!お前の妹…さんが声援を送ったせいで気が散ったんだよ!」


「勝ったあああうおおおおおおおおお!!!」


「うるせぇな!違う!…っ卑怯だぞ!」


「うおおおおおおおおおおおおお!!!!」


「人の話を聞けぇっ!!」


周りの人々が動揺に包まれる中、リッカだけはただ、こちら側の人間が増えそうな予感に微笑んでいた。

ここでひと段落です!

どうだったでしょうか?

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