その10〜魔人の話を聞こうか〜
ブックマークが三件に!!
ありがたいですもっともっと頑張ります!
今回は番外編っぽいです!
「!」
その人影はぴくりと身体を震わせた。
黒で統一された豪華な衣装を見に纏い、巨大な玉座に腰掛けている。
床から天井までが漆黒に染め上げられた広い空間。空中に浮かぶ頭蓋骨にはロウソクが仕込まれており、不穏な明かりを灯していた。
「どうかされましたか?我が主人よ」
気色の悪いしゃがれ声。
頭からすっぽりと黒いマントを羽織った人物が、玉座のかたわらに身を寄せ、尋ねる。
「はるかに遠くの場所だが…。今確かに、何者かの咆哮が聞こえた。目覚めたのかもしれない、伝説の勇者が」
黒マントは鋭く息を吸い、堰が切れたかのように喚きだした。
「そんなはずはありません!伝説の勇者など…存在するはずが!あなたが最も強い。この世界で最強だ!」
玉座の人影は手を軽くひねる動作をした。
その途端、黒マントは苦しそうに身を悶えさせた。見えない力に、首を絞められているのだ。
黒マントの足は床から離れ、体はすでに宙へ浮いていた。空気を求め、喘ぐ声が広間に響く。
「私の言うことを否定するか。私がそうだと言えばお前はそれを信じるだけでいい。自分の意見を言うなどもってのほかだ」
玉座の人影が手を払うようにすると、黒マントの体は糸を切られた操り人形のように崩れ落ちる。
咳き込みながら、黒マントは言った。
「申し訳ありません…魔王様」
「さっさと下がれ。勇者を始末するまで戻るな」
冷酷な声に、黒マントは芯から震え上がった。
失敗すれば命はない。長い時間をかけてこの地位まで上り詰めた。こんなところで終わってたまるものか。
逃げるように黒マントが部屋を後にし、一人きりになった魔王は、呟く。
「それにしても…さっき聞こえてきた勇者の咆哮。何か意味のある言葉を叫んでいたようだが、よく聞き取れなかったな。『ハナシキケ』…。何かの呪文か?」
勇者の正体とは?
これから二週間テスト期間に入りますので、その間は投稿はお休みです。
おやすみなさい…。