第2話 それぞれの世界
第2話です。次回から動き出すと思います。多分。
それから色々な話を聞いた。
この世界は3つの大陸と5つの国や勢力がある。
1番大きな大陸である、西の大陸の北を支配するのがゼウス率いるオリポス。
南は太陽神を名乗るラーという人物が治めるポリウス王国。
東の大陸は未だ統治されていない地だが、オーディンという人物率いる勢力が1番の勢力を誇っているとのこと。
中心に位置する大陸はブラフマー、ヴィシュヌ、シヴァの三兄弟が治めるイン帝国。
そして、イン帝国のある大陸の南にある大陸がルナが治めているヒース王国である。
大陸の大きさは西の大陸を100としたら東の大陸が70、真ん中の大陸が60、ヒースがある大陸は20くらいだろうか。
先程野営を張っていたオーク達はオリポスの者達だそうだ。
オーク達は下っ端で、本気で攻めてきている訳でもないそうだが、このヒース王国は現在各大陸から攻撃を受けているそうだ。
目的はルナ。
彼女は強大な魔力を秘めており、彼女の一族で女性のみが使えるという月の魔法が使えるそうだ。
月の引力を利用して様々な事象を引き起こす事が出来るそうだ。
そして、彼女が一族の中で決定的に違う存在であるのは<月の巫女>という事である。
彼女は一族の中でも圧倒的な魔力を持ち、彼女が幼少期の際には自らの魔力を制御出来ずに月が接近し過ぎてしまった事で、この世界が滅びかけたとの事だ。
以来彼女は<月の巫女>と呼ばれ、恐れられ、且つ彼女を手に入れる事=この世界を掌握出来ると世界に広まり、彼女の争奪戦が始まった。
この十年余り、各大陸間で争いが起きているという。
この状況ではいつか必ず、攻め込まれる。
この力が暴走してしまった先には世界の破滅である。
ルナが言っていた自身が存在する理由。
それは自分自身の力を治める事が出来る者が異世界からやってくるという事。
ルナは毎日夢に見ていたという。自分自身が引き金で起きているこの戦争を止めてくれる人物が異世界からやってくる。
そして彼はやってきた。
彼が目覚めた瞬間、ルナはすぐに感じ取ったという。
「なるほど。状況は分かったのですが・・・」
ゼウス?オーディン?
ギリシャ神話や北欧神話など、これは神話上の人物じゃないのか?
月が接近し過ぎて崩壊しかけた?
スケールが大き過ぎる。
夢に毎日見ていた?自分は見てないぞ。
いきなりそんな事を言われても・・。
頭の中でそんな事を考えていると
「ちょっと2人で話しましょう。」
周りの者に目をやり、席を外させる。
2人きりになった。
「色々と混乱されてますね。」
「そうですね。話を聞いてさらに混乱してしまってます。」
「・・私は貴方様の事をもっと知りたいですよ。」
なんて身勝手なんだと彼は思った。
彼は知らないうちにこの世界に降り立ち、いきなりこの世界の混乱を治めてほしいと言われている。
「そんな事を言われても!!私はこの世界そのものを知らないっ!知り合いもいない!そんな状況でよくぞ来ました。世界を救ってほしいですと言われても!!あなたにこの気持ちが分かりますか!?」
今までの混乱が全て感情に出てしまった。
「分かるよ。」
彼女はそんな彼の感情を見透かしたように答えた。
「小さい頃に世界を滅ぼしかけてから、私は城の外へ出た事がないの。」
「えっ?」
「私の世界はこのお城の中だけ。<月の巫女>って持て囃されてても、外の世界の事は何も知らないただの小娘・・。」
彼女が外に出ると様々な外敵から狙われるからだろう。
彼女は物心ついた時からこの城から見える景色以外何も知らないのか。
さらには世界の命運を握らされて。
「本当はね、こんな世界終わらせちゃいたいと何度も何度も思ったよ。でも、夢の中で毎日貴方が出てきて私を救ってくれた。貴方が来たらこの戦争も終わるんだ。私も外の世界を見る事が出来るんだって貴方が夢に出る度に心に想っていました。」
彼女の目はいつの間にか、涙で溢れていた。
「今日貴方がここに来てくれて、私の目の前にいる事、心から嬉しいよ。」
彼女の涙でクシャクシャの顔を見て、彼の心は決まった。
「一緒にっ!!」
彼女の玉座の前まで進む。
「俺が君を救えるかどうかなんて分からないし、保証なんて出来ない!でもっ!君がこの世界が嫌になったら一緒に死んでやる!そして・・」
彼女の前に進み、手を差し出す。
「そうならないよう努力する事をここに誓う。」
再び彼女が微笑み、手を取る。
「はいっ」