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VSプルール(1)
ープルールの出現。
それは俺にとって最も避けたいシナリオであり、イベントだった。
「…フゥラ!」
「ツカサ!平気!?」
フゥラの姿は見えないが、きっと目の前のプルールの後ろにいるんだろう。
プルールはしっかりとその両目に俺を映していた。
初めて見たプルールの姿は、想像していたよりもずっと獰猛だった。
鋭い牙、お世辞にもきれいとは言えない毛並み
だらしなく開いた口からはよだれが滴っている。
「…ラ、ラスボス感がはんぱねぇ…」
「ツカサ!あんたに相手できるような魔物じゃないわ!早く逃げなさい!」
「…!?フゥラ…!?お、おいおまえ…」
魔物の隙間から見えたフゥラの姿は、ぼろぼろだった。
「…魔物のかぎづめでちょっと、ね…」
白い肢体から鮮血が滴る。
苦しげな顔でうめく姿から痛々しい様子が伝わる。
「…っ逃げなさい!はやく!」
ーボロボロになってもなお、俺を気遣う声。
…その時点で、俺の中に逃げるという選択肢はなかった。
近くの木の枝を拾い上げ、構える。
馬鹿、と悲痛な叫びが聞こえたが気にしない。
プルールと対峙し、腰を落とす。
ー対プルール戦が、始まる。