アルバァーマ大草原
フゥラと二人歩き始めてかれこれ10分ほどたったが、いっこうに街が見えてこない。
…というか。だ。
(俺は…この子を信じていいのか…?)
今更になって気づいたが、俺はこの子のことを何も知らない。
知っているのは「フゥラ」という名前と彼女が妖精なことだけ。
「…わたしのことがしりたい?」
「うぉぇ!?」
「顔に出てるわよツカサ。」
指摘されて初めて、眉間にしわが寄っていたことに気づく。
フゥラは俺の半歩前を飛んでいたが、俺に歩幅を合わせた。
「何が知りたいの?言っとくけど、変な質問だったら風の魔法でぶっ飛ばすわよ」
「…正直いろいろわからないことだらけだから、答えてくれると助かる…ってぶっ飛ばす!?」
可憐な容姿にそぐわない言葉で脅され、質問を脳内で選んでいく。
「あー…じゃあ、俺たちが今向かってる街ってどこだ?」
「…はぁ?そんなことも知らないの?…ミィル街に決まってんでしょ」
「ミィル街…」
やっぱり聞いたことのない街だ。フゥラがふざけてる様子もないし、きっと本当なんだろう。
「えーと、その街ってどんな街だ?」
「水魔法を応用してできた街よ。水使いがたくさんいて、その地には水の魔女が眠るとされているわ。
あとは…そうね、エルフがいたりオークがいたりするわね」
「おおぉ…なんかTHE・異世界って感じだな…!」
エルフ、オーク、魔女。
17歳男子ならだれもが夢見るような単語がつらつらと出てきて、期待が高まる。
「な、なぁところであとどのくらいでつくんだよ?その、ミィル街には」
「何急に興奮してるのよキモチワルイ。そろそろだと思うけど…」
辛辣なフゥラの言葉に心が傷つきながらも、そろそろつくらしい街に心躍らせる。
ーそのとき。
「うぉわ!?」
「きゃっ、ツカサ!」
突如それまで踏んでいた地面がもりあがり、バランスを崩す。
2mは軽く盛り上がり、俺とフゥラの真ん中を緑色の何かが貫いた。
「…っ、おいおいおいまさか…」」
「ツカサ!プルールよ!」
ーミィル街は、すぐ目の前。