フゥラ(1)
「ちょーっと、キミ!」
呆然としているとフゥラに額を小突かれる。
力なくフゥラと正面から向き合うと、彼女はやっぱり……美少女だった。
明るい栗色の軽くウェーブのかかった髪を、高い位置のサイドポニーで括っている。白の半レース状の丈の短いベアトップドレスのようなものを着ている。フットカバーのようなものを履いているからか、その白くて綺麗な脚が丸出しだった。
まったくもって破廉恥である。
「……今。わたしでやらしいこと考えたでしょう」
「なっ…考えてな、……ない!!」
自分を守るように両肩を抱くフゥラ。
ジト目で俺を凝視している…が。
「……なんか、変じゃないか?お前」
「なっ……急になによ!失礼ね!」
「あ、ほらやっぱり。」
さっきから気になっていた。
フゥラは、言葉と表情があっていないんだ。
怒っている口調なのに顔は真顔で表情筋の心配をしたくなるくらい。
「お前、ロボットなの?」
「違うわよ。わたしはれっきとした妖精!」
でも、とフゥラが続ける。
「表情が無いのは仕方ないじゃない。…大昔、失ったんだから。」
「……失った…?」
「なぁに、あなた知らないの?変な人。」
フゥラは教えてくれた。
ーー感情のない夢世界の生い立ちを。