受験編 03
「で、結局どーすんだよ」
俺は少しイライラしながら啓悟に尋ねる。
「そうだなぁ、今オレの選択肢は二つある。本か、ぱーっと遊ぶか」
まともな選択肢じゃないか。
「竹都はこの二つなら、どっちにする?」
「ぱーっと遊ぶ方が疲れもとれていいんじゃないか? 三人でどっか行くとか」
「三人で! 楽しそうだな」
お前がはしゃいでどうする。
でも、行くとすれば水族館とか、動物園だとか、遊園地だよなぁ。
「無難なのが水族館と遊園地だな」
梨緒は動物園で小さい頃怖くて泣きわめいていたからな。それが今でもトラウマらしい。
「水族館かぁ……オレはペンギンを見」
「じゃあ、遊園地だ」
「え、ちょ、なんで俺の意見総無視なの!?」
「そっちの方が梨緒が喜ぶと思ったから」
梨緒は多分啓悟とあえて違う方を選ぶだろう。顔には出さないが、梨緒は啓悟のことをうざがっているように思う。
いや、うざがってなかったら梨緒は神様か仏様だな。優しい子だけど。
「遊園地か……近くであったよなあ?」
啓悟は思い巡らせながらきいてきた。
「あぁ……小さい頃行ったよな」
小さい頃の梨緒と啓悟を思い浮かべる。
懐かしいな。
「じゃあ、そこで決定な!」
言って、啓悟は満面の笑みで頷く。
「梨緒が合格した時まで黙ってろよ」
啓悟に釘をさしておく。
こいつ、口軽いし喋りたがるから、察しの良い梨緒にはちらつかせても分かってしまうことだろう。
「おうよっ」
啓悟は楽しそうに拳を振り上げて返事をした。
超不安だ。
次回は後日談の予定。