受験編 02
俺は盛大なため息をつく。
本当に梨緒のことを想っているのかいないのか……
「梨緒が受かった後に何かサプライズ的なものはしないのか?」
と、俺は提案してみた。
啓悟はしばらく考えた後、
「あぁ」
ぽん、と手をたたいた。
頭の足りない奴め。
「そうだな、それはいいな。梨緒は褒めてのびる子だからな」
それはどうだか知らないが。
「じゃあ、何かお祝いをしようじゃないか!」
啓悟は腕を組んでうなり始める。
どこぞのアニメのアホキャラだ。今時腕を組んでものを考える奴なんていないと思うが……
「そうだな、辞書とか問題集はどうだ」
「どこの頑固親父だ。年頃の娘がそんなの貰っても喜べないだろ」
受験やっと終わった奴はしばらく頭を使いたくないと思うが……
「うーん、そうだなぁ」
啓悟はまた考え始める。
「制服をプレゼントす」
「変態め」
「う……文句ばっか言ってないで竹都もなんか提案しろよ」
そう言われ、俺は少し思いを巡らす。
「お前の言ったプレゼントは良い考えだとは思う。梨緒が欲しいものをあげたりだとか……服は趣味がよく分からないからな……本だったら好きな作家だとか聞けばいいだろう。他には受験で勉強詰めだったからたまにはぱーっと遊べばいいんじゃないか? ま、どれも合格したらの話だが」
ざっと言ったところで、啓悟がふるふると肩を震わせていた。
「お……おま……なんでそんな考えてんだよ、なんでそんないかにも梨緒が喜びそうなこと考えてんだよ! ちくしょう!」
ひがんでるはずなのにコイツ褒めてるぞ。
「オレは梨緒のお兄ちゃん失格だぁ!」
いつからネガティブキャラになった。
「まぁまぁ、とにかく今はサプライズの話に戻らないと」
「慰めてくれてるはずなのになんで絶妙に棒読み!?」
ったく。注文の多い……
「そこ、溜め息つかない!」
びし、と啓悟が指摘してきた。
一生決まらないような気がしてきた……
未来が見えない。