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新聞編 06

昼休み、生徒会は集まらなかった。

生徒会長にあれこれ事情やら経緯やらを話し、生徒会を集めてくださいと言ったら、

「えー。新生徒会会員歓迎会の準備で忙しいからむりぃー」

と、一言で取り消されてしまった。

冬子はうなだれたが、ほかにやることを思い出した、とすたこら去ってしまった。

俺は役に立たない生徒会長に失礼します、と言って三年生の教室を出ていこうとすると、

「あ、そーそー。明日の昼休みにその歓迎会のリハーサル、するから体育館に来てね」

お茶目にも最後にウィンクまでつけてくれた会長を白い目で見ながら、俺は無言で三年生の教室を後にした。


さて、と。

俺は一段落した、とため息をついた。

とりあえず、どうしようか。

放課後、新聞部に殴り込みでもしてみようか。

とてつもなく穏便な形の。

手短な話だから、梨緒はきっと待っていてくれるだろう。

俺はそんなことをのんびり考えながら、自分の教室の、自分の席に座る。そこで、松川がいないことに気付く。

松川、いっつも暇だとひょこひょこと俺の周りにいるのに…今日は何かあるとも言ってなかったよなぁ。云々考えながら、俺は机に伏せた。

我ながら、危機感のないやつだと思う。

あー、眠い…

うとうとしていると、いつのまにか俺は寝入ってしまっていた。



「……竹お兄ちゃんの教室に、行って、それで竹お兄ちゃんにもう少し詳細を聞く。で、私は何をしたらいいか、聞く……」

みーちゃんの前で、私は今からやることを復習する。

「そんなに緊張する?」

みーちゃんは理解できない、というように尋ねてきた。

「うん。なんだか、すごく緊張する……真剣なお話だから……」

私は、無理に微笑んで見せた。

みーちゃんは何故かため息をついて、私の頭に手を乗せた。

「じゃ、行こうか」

「うん」


しかし、教室に行くと、竹お兄ちゃんは寝ていた。

学校で寝るような性格じゃないのに、寝ていた。

私は、教室の扉のところでどうしようかわたわたしていた。

教室、入っちゃだめだよね……かと言って、ここでふらふらしてるのも……

私はみーちゃんの隣でどうしようかと考えていると、

「あ、梨緒ちゃん」

後ろから声がした。

振り返ると、そこには松川先輩がいた。

「あ、松川先輩。こんにちは」

「うん、こんにちは。竹都?」

「はい。ですが……寝ているようなんです」

「寝てる?竹都が?」

竹お兄ちゃんと友達の松川先輩も、その様子には驚いたようだった。

ひょこっと松川先輩は教室を覗く。

「あ、ほんとだ。ふて寝してんのかな」

松川先輩は呟き、私たちの方に視線を戻す。そして優しく笑いかけ、

「ま、人に見られるのに慣れてない奴だから、疲れたんだろ。今はゆっくり休ませてやってくれる?」

と言った。

私は寝ている竹お兄ちゃんを起こす勇気もなく、このまま曖昧な気持ちでいたいと思うこともあり、ずるいけれど、三年生の教室からは離れた。

一年生の教室に向かいながら、隣のみーちゃんは無言で私を見ていた。

「……ご、ごめんなさい…」

そう。せっかく一緒についてきてくれて、しかも竹お兄ちゃんを起こせばいいのに、私のわがままのせいでそのままにしたこと。

ずるいよね。

私は怒られること覚悟で謝った。

しかしみーちゃんはそっぽを向いて、

「ま、梨緒がいいならそれでいい」

なんて冷たい言葉を放ち、すたすたと教室へ歩いていってしまった。

うぅ…とても胸に刺さる……怒られるよりダメージが大きい……

私はしばらく立ち止まっていたが、走ってみーちゃんを追いかけた。


私立試験は終わりました。次は公立。受かる予感はしません。


次話は、私立合格発表の日に、しておきます。…しておきます(不安…)

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