新聞編 05
私は、なんだかそわそわした。
そわそわ? うーん、なんだかふわふわする。
授業の内容も全然頭に入ってこない。
頭にあるのは、あの新聞のことだけ。
竹お兄ちゃんとふーちゃんが付き合っている……そのことが、どうしても離れない。
竹お兄ちゃんは違う、って。信用して、って言っていた。竹お兄ちゃんを疑うわけにはいかない。
いかない、のに。
「梨緒、ノート真っ白」
ふいに頭上から声が降ってきた。
落ち着きのある、静かな声。
驚いて顔を上げると、みーちゃんがいた。
「はへ」
ノート真っ白? なんのことかな。
「はへ、じゃない。授業、ろくにきいていなかったでしょう」
みーちゃんは私の机の上に広げられたノートをとんとん、と叩いた。
「あ……」
その、私のノートは、真っ白だった。
「確かに、竹都さんと冬子さんの記事は気になるけれど、授業はちゃんと聞きなさい……って言っても、無理?」
「うー……うん……」
私は正直に答えた。
だって、気になるんだもん。
それに、恐怖感も、少しある。
「そうね、梨緒がそのノートみたいに頭が真っ白なのは、真実が分からないからでしょ」
「……?」
私は、目をきょとんとさせた。
「情報というのは嘘の時だってあるの。でも、それを嘘だと見極めるにはあまりに情報が少ないわけだし、お互いを理解しようとする気持ちが足りないと思うの。いつも自分のことを守るだけでは、話にもならないし、本当を見つけることなんかできないよ」
みーちゃんは、そう、私を優しそうなまなざしでみた。
まるで、泣き出しそうな私を慰めるみたいに。
お互いを理解する気持ち……
私は、竹お兄ちゃんのことを理解していない? 確かに、分からないから、理解していないから不安なんだ。
竹お兄ちゃんのこと、理解しなくちゃ。
私は、むんと胸を張った。
「…………私、本当のことを調べる」
私は、みーちゃんをまっすぐに見て、宣言した。
「本当のことを調べて、ちゃんと、竹お兄ちゃんと、目を合わせて、話したい」
今朝、私は竹お兄ちゃんが怖くて、なかなか目が合わせられなかった。竹お兄ちゃんは、気づいていなかったと思うけど……だから、もうそんなことはないように、私は。
「じゃあ、わたしも協力するよ」
みーちゃんは、にっこり笑っていった。
あ、なかなか見れないみーちゃんの笑顔!私はついうれしくて、えへへ、と頬を緩ませた。
「まぁ、わたしがあの記事の発端と言っても過言ではないから……」
「えっ?」
私はみーちゃんの何気ないような呟きに、聞き返した。
「今……」
「わたしが、新聞部に何気ない話で、遊園地に行く話をしたの」
みーちゃんの顔は、悲しそうだった。
中途半端なところで区切れました……
3月中旬まで更新ストップします!
受験なので…思い切らなければなぁ、と考えたのです。
と、いうことなので、受験頑張ってきます。