新聞編 04
「で、本題に入るが……」
そうだ。こんな下らない話をしている場合ではない。
「あの新聞をどうすべきか。新聞部はあの新聞を全部はがしても、また新しいやつを張るだろうな……新聞部に直接オレたちが抗議しても…効果はないと思う」
「……とか言っても、あたしたちは根も葉もない噂広められているんだから、必ずどこかでボロが出るでしょう?そこをなんとかできないかな」
「……どうかな……放課後新聞部にとりあえず行くが、お前、約束しろ」
「何が……?」
「新聞部が、これを期に付き合っちゃえば、とか言ってきても、絶対に頷かないこと」
「え……」
梅田ちゃんは、戸惑った。
そりゃそうだ。自分の竹都への好意を否定するようなものだ。
「……う、うん……」
「……」
オレは、引っかかった!と思い、梅田ちゃんを見た。
付き合わない、と言ったら、竹都への好意を伝えるのも一段と難しくなるに違いない。そうすれば、先に梨緒ちゃんを煽ればいいだけだ。
「って、そんなこと約束するわけないでしょっっ!!」
この狭い美術準備室で、梅田ちゃんは叫んだ。
「あたしがそうやって約束させて、竹都に近付けさせないんでしょ!?そんな悪魔との約束みたいなの、するわけないでしょ!あたしにはっ、あたしにだって、あたしの考えがあるんだから、あんたの言いなりにはならないわ」
ふん、と梅田ちゃんが胸を張る。
なかなか勇ましく強くなったなぁ。オレは厄介になりつつある梅田ちゃんに少し嫌気がさす。
「ま、勝手にほざいてればいいけど」
鼻で笑い、オレは美術準備室を出ようとする。
「……」
梅田ちゃんは、黙ってオレを見つめていた。
「……何」
「いや、とりあえずは、あんたの過去に、少しだけ興味あるな、って……思って」
あぁ、遊園地の時にちらっと言ったんだ。オレは意地の悪い笑みを浮かべ、
「いつか話してやるよ。梅田ちゃんが、…竹都にフラれた時とか」
と皮肉に言って、美術準備室を出て行った。
先ほど愛犬と遊んでいたら、喧嘩編の竹都みたいな顎が痛い現象に陥りました。
なかなか愛犬に警戒されてますなぁ。