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新聞編 03


「ねぇ、あんたのせいでしょ」


昼休みになると、梅田冬子が勇ましく目を鋭くさせて、おかしな言いがかりをつけられた。

「無理やりあたしたちをくっつけようとして、何がしたいわけ!?」

梅田は声を荒げた。

教室にその声が響き、クラスメイトたちはざわざわし始める。

ったく、勝手な妄想押し付けてきやがって……

オレは梨緒ちゃんの不安に焦り、新聞部への怒りもあり、かなりイライラしていた。

「はぁ……」

あからさまに大きなため息をついた。

「なっ……あんた、つくづく嫌な男……!」

「黙れ」

オレは梅田に冷たくそう吐き捨てた。

梅田はその一言に、怒りは収まらないが大人しくなった。

「……とりあえず、新聞部が目光らせてるから、他の場所に行くか」

オレは小さく言って、先に歩き出す、

「少し距離を置け。めんどくさい噂は立てられたくないからな」

梅田は大人しく、少し距離をあけてついてきた。


オレはすたすたと階段をあがり、あるドアのドアノブを回す。

やっぱ空いてる。相変わらず不用心な……

呆れながら、部屋に入る。

梅田が走ってやってきた。

「少しは、女の子の歩幅も、考えなさいよ!」

梅田はどうやら小走りでやってきたらしい。

「オレは、全ての男と気に食わない女にはきびしーんだよ」

そう言葉を投げつけて、早くドアを閉めろ、と命令する。

梅田は更に目つきを悪くしながら、部屋に入ってドアを閉めた。

「っていうか……なんで美術準備室なの?」

「美術の先生は不用心だから、だいたい鍵あいてんだよ」

「なんでそんなこと知ってんの?」

「よく画材取りに来るんだけど、毎回空いてるから」

「……画材?」

梅田はオレの話がよく理解できていないようだった。

まぁ、オレはこういう話は、あいつに笑われてからは誰にも言ってないし……

「独学で、美術勉強してんだよ……」

「…………え」

梅田は、今まで蛇のように鋭い目をしていたのに、それを聞くとうさぎが驚いたように目を丸くした。

そうして、頬が次第に緩み、口を押さえて小さく笑った。

「……ッ! な、な……キャラ、違っ」

「失礼とは思わないのか」

オレは眉間にしわを寄せて、そっぽを向いた。

あいつと、同じことばっか言いやがって……

オレはイライラしながら、生徒の作品をぱらぱらと見る。

興味もないので、なんの感想も浮かんでこない。

しばらく梅田の笑い声だけが部屋に響いていたが、梅田は流石に失礼だと思ったのか、黙った。

気まずい雰囲気が溢れる。

「えー……ごめん。ほら、あんた…松川さんが、そんな繊細だったとは……」

梅田はきゅうに愛想の良い顔になった。

今度は、オレが目を丸くした。


「お前、そんな顔できんだな」


ぽつりと、自然に出た。

梅田は、しばらく思考停止して、顔を真っ赤にした。

そして、いつものぶっきらぼうな顔になる。

「何一人で百面相してんだよ」

オレは呆れた顔をして、ため息をついた。

やっぱ、あいつとは違うんだよ。

そう、自分に言い聞かせながら。


こんな設定無かったはず…?あれ、勝手にキャラが動きますね

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