遊園地 後日談 side梅田
帰ってきたら、服を普段着に変えることもせず、あたしはベッドに寝転んだ。
帰るとき、まともに竹都の顔が見れなかった。まぁ、目は赤いし、梨緒ちゃんが隣だったし、……なんか、後ろめたかったし。
……
「はぁーっ」
深いため息をつく。
あたしが、楽しむための企画じゃないもんね。そうだよ……梨緒ちゃんが笑ってくれるための企画だもの。
前向き……に、考えなくちゃ。
松川さん、邪魔するって言ってたな。松川さん……
悪い人じゃないのに。
そう。悪い人じゃない。あたしが泣いて、でも笑ったとき、決まり悪そうな顔してそらした。きっと、何かあるんだ。
過去、って言ってたな……
そこまで考えて、あたしは瞼が重くなってきた。
泣きつかれたもんね……久しぶりに泣いたなぁ。最後に泣いたの、いつだったかな。あぁ……卒業式。中学校の……
「……?」
あたしは、目を開けた。
ベッドから起き上がり、あたりを見回す。帰ってきたのが五時。今は……十……時!?
あたしはびっくりして叫びそうになった。
あわー、勉強やってない……
とりあえず普段着に着替えて勉強道具を机に並べる。
でも、……
「頭動かせない……」
あたしは机にうなだれた。
竹都のこと、松川さんのこと。何にも知らない癖に、みんなの中心にいる梨緒ちゃんのこと。
いっぱい、ありすぎたよ……今日は。
「うぅぅー……」
「何唸ってんのねーちゃん……」
「うわっ」
あたしはば、と振り返る。
ドアの隙間から弟が怪しいものを見る目で見ている。
「な、な、なんで、お、女の子の部屋に入るんだったら、ノックぐらいしなさいよっ」
「はっ……色恋沙汰もない高校生を女の子っつーかよ……ねーちゃん彼氏くらいつれてこいよなー」
……彼氏…
あたしは、黙ってしまった。
いつもなら、言い返せるのに。
タイミング悪いなぁ。
弟は、拍子抜けしたようで、目を丸くした。
「なんだ……なんだこれ、なんかおれ変なこと言っちゃったみたいな空気……」
「なんでもないっ!というか、小学生はさっさと寝なさい!」
「なんだよー!」
あたしは弟を部屋から追い払い、ドアを閉める。そして勉強机と向き合う。
なんだかこっちが拍子抜け。考えるだけ損なのよ。
「よしっ」
気合いを入れて勉強開始。
あれ、弟、何しに来たんだろ……
ふと思うが、
ま、いっか。
と、片付けた。どうせろくなことでもないだろう。