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遊園地 前編 05

「メリーゴーランド!」

梨緒が入場して真っ先に声を上げた。

目の前には早速さまざまな乗り物がある。その中のメリーゴーランドに目が着いたらしい。

梨緒らしくメルヘンチックだな。

まぁ現実的なアトラクションが遊園地にあることがないが。

「よし、梨緒のケンゲン(権限)により最初はメリーゴーランドに決定!」

啓悟がメリーゴーランドを指差して言った。


というわけでまずはメリーゴーランド。

「メリーゴーランドなんて、梨緒ちゃんらしい……」

梅田はぶつぶつ言いながら馬に乗ろうとする。

が。

「うっ……」

やたら不器用なのか馬に嫌われているのか、ずるずると落ちていく。梅田は顔を真っ赤にしながらこちらを睨んできた。

おお、怖っ。

恐れながら俺は渋々梅田を馬に乗せてやった。

「……」

梅田はぶすっとした顔のままそっぽを向いてしまう。しかし近づいてみると馬は結構高い。梨緒は大丈夫だろうか。そんなことを考えて梨緒の方を見ると、

「だ、大丈夫、梨緒ちゃん……?」

松川が心配そうに梨緒を見ている。

梨緒は危なっかしげに自力で馬に乗っていた。

「ひ、一人で乗れるもん!」

どこの小学生だ……なんて思いながら梨緒がきちんと乗り終わるのを見守った。


「梨緒ちゃんばっか見て……」


ふと、後ろから梅田の声がした。

しかしうまく聞き取れず、俺は振り返った。

「ん?なんか言ったか?」

と尋ねると、

「なんでもッ!」

と逆ギレされてしまった。

さきほどの梨緒といい、梅田といい……女子は不可思議な生き物だ。

早速疲れてため息をついた。


「おいおい竹都!凄い体験をしてきたぞ!」

同じメリーゴーランドに乗っていたはずの啓悟がらんらんとやってきた。

一体なんだ。

俺と梅田は白い目で啓悟を見た。

「なんと、オレは馬から滑って落ちたのに、床にいても景色は回り続けたんだ!」

「……」

俺は呆れて、

「……」

梅田は絶句。ついでに梅田は、

「啓悟ってほんとに変わらず馬鹿なのね……」

とぽつんと言った。

「あのなぁ、メリーゴーランドっつーのは馬が回ってるんじゃなくて、床ごと回って……」

言いかけて、止まった。

なんか、殺気みたいな痛い視線が……

後ろを恐る恐る見ると、硬直している梨緒と、梨緒を気遣うように実さんが隣にいた。

見かねた梅田が、

「メリーゴーランドってすごく可愛くて、女の子の憧れだよねっ」

必死にフォローしていた。

まさか、啓悟ならぬ梨緒までもメリーゴーランドは馬だけ回っていると思っていたのか……!?


なんなんだこの夢見る兄妹は……




この兄妹の中では馬が回るのか床が回るのかで大きな違いがあるのです。

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