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遊園地 前編 04

「もう一人の方は、もうすぐで来ますか?」

実さんが尋ねてきた。

「あぁ、梅田、ね。梅田はもうそろそろ来るらしい」

「そうですか。仲があまりよろしくないのですか?」

「え……なんだ、いきなり」

俺は図星すぎて少しどもりながら聞き返した。

「いえ……電話の最中なんだか怪訝な顔をしていましたから。理解できないのですね……竹都さんは勘違いをしそうです」

なんか嫌な予言を淡々と語っているが……

「しかしあの距離でよく見えたな」

「はい。眼鏡がありますから」

あの短時間で眼鏡を付け外ししていたのか……何を見ようとしていたのか。不思議な子だ。

「あれ、目悪いの?」

「はい。でも今はかけませんよ。女の眼鏡はギャップの武器です」

……なんかどっかの恋愛のハウツー本に書いてそうなことを……そういうのは興味なさそうな子だが……

実さんのことを理解するのは十年はかかりそうだ。


「た、竹都!」


と、梅田の声が聞こえた。

「おう、梅田」

梅田は俺たちの方へ走ってきて、遅れてごめん……と言ってきた。

「あ、ふーちゃん!」

梨緒が梅田を見るなり、走ってきた。

「久しぶり、ふーちゃん!」

「あ、え……梨緒ちゃん?」

梅田は何故か戸惑っていた。

最後に会った日から梨緒が全く変わっていなかったから驚いたのだろう。

「うん、久しぶり!」

「う、うん……」

梅田は戸惑いを隠しきれない。

そこに啓悟と松川もやってきて、これで全員集合というわけだ。

「じゃ、これでみんな揃ったな!」

啓悟がみんなの頭数を数えながら言った。

梅田は実さんを不思議そうな目で見ていた。そうか、梅田は実さんを知らないんだ。そこで、それに気付いた実さん自身が、「梨緒の友達の実です」と、小声で自己紹介をした。

梅田は目を丸くしながら「う、梅田冬子です」と返した。

実さんはよく気がつく。更に感心する俺。

「じゃ、行きますか!」

そう言うなり、啓悟ははしゃぎにはしゃいで入場しようとする。

しかし、松川が啓悟の首を掴んでそれを止めた。

「ぐぶお」

啓悟は奇声を上げて止まる。

「その前に、はぐれないようにペアを組もう」

と、松川は提案した。

「ペア、ですか?」

梨緒が不思議そうな顔で聞き返す。

「そ。せっかく男女三人ずついるんだし、男女一人ずつの計三組のペアを作る。で、そのペアはお互い乗り物も隣同士。行動するとき見てるのが五人より一人の方が楽だろ?」

それを聞くなり、梨緒が尊敬した眼差しで松川をみた。これは松川の好感度と頭の良さがアップしたようだ。

しかし、松川にしては良い考えだ。

「そうだな。じゃあ、男は男同士、女は女同士でジャンケンして、勝った人からペアを組む、ってことで」


……で、その結果。

「よろしくお願いします」

「オレ様がちゃんと見ていてやるからな!」

実さんと啓悟のペア。

「迷子になりやすいので迷惑かけそうです……っ」

「いやいや、オレがちゃんと見てるから」

梨緒と松川のペア。

そして俺は。

「……な、何見てんの?決まったならさっさと行くよ」

梅田とのペアだ。

嫌でもないが、どうやら梅田は俺のことを好いてはいないと思うし……やたら俺と話すとき不機嫌だし。


とにかくペアも決まったわけで、ようやく俺たちは入場したのだ。




そういえばこれって梨緒の入学記念の為だったな。


少し波乱の予感です。

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