遊園地 集合編 03
「ぐふぉ」
「もう、お兄ちゃん何やってるの! 恥ずかしいでしょっ! 松川先輩、ごめんなさい、うちのお兄ちゃんがいきなり叫んだりして……」
そして松川に頭を下げた。
素早い対処に感心する俺。
ただそれをぼうっと見ているみーちゃん。
「いやいや、オレがなんか気に障るようなことしたからだと思うよ、ごめんな、梨緒ちゃん」
「い、いえいえ。もう、お兄ちゃんも仲良くしてね」
梨緒はそうして啓悟に注意した。
「すっかりお姉さんですね」
静かな澄んだ声が隣から聞こえた。
その声の主はみーちゃん。
いつの間にか俺の隣にいた。
「うぉっ……瞬間移動……!?」
「さほど距離は離れていません。えっと、前休み時間にお会いしました、改めまして、はじめまして竹都さん。わたしは実です」
あぁ、みのりのみ、でみーちゃん……
実さんはふわふわした髪を肩に付かないぐらいに切りそろえていて、伏し目がちな目が眠そうに見える。
「は、初めまして、よろしく」
なんだか礼儀正しすぎてこちらがぎくしゃくしてしまう。
「それにしても、もう一人の方が遅いですね」
「あ、あぁ、そうだな……」
あと一人。梅田、か。電話でもすればすぐ来るかな。
「ちょっと電話してみるよ」
そう一言言って、梨緒と松川と特に啓悟の声で騒がしいので離れて電話をかける。
1コールもしないで即繋がった。
早い……
女子はメールの返信も早いと聞くが、電話も共通なのだろうか?
「たッ、竹都!? な、何よ」
なんでそんな必死そうなんだ。まさか走ってるとか……?
「おう、もうみんな集まってるぞ、早く来いよ」
「わ、分かってるわよ、もうすぐで着くからっ」
怒ってる……のか?
「それだけ? じゃあ、切るよ!」
そうして電話は切れてしまった。
それだけ、って……心配して電話をかけてやったというのに……
「どうでしたか?」
なんだかもやもやした気分で帰ってきた俺に、実さんは変わらず静かな声で尋ねてきた。
「もうすぐ着くってさ。それにしても、女子っていうのは色々難しいな」
「? ……そうですね、男子とは別の生き物と言われるほどですからね」
別の生き物……か。
まぁ確かにそういわれればそうだな。しかし実さんは賢いことを言う。
俺はそんな実さんに感心していた。