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遊園地 集合編 02

「お、梨緒もいるのか」

やっと準備ができたのか、啓悟がてこてこ入ってきた。

「お前が案の定最後だよ」

俺は冷たい目で啓悟を見、次に時計に視線を動かす。

と、もう出発の時間を5分過ぎていた。

「って、もう5分も遅れてる! 早く行くぞ!」

俺がそう呼びかけて、テレビを消して玄関にいそいそと進む。

梨緒も長く二つにくくった髪をなびかせて俺についてきた。

しかし、啓悟は相変わらずのんびりしている

「うへー、まだ5分しかじゃん、ゆっくり行こうぜ」

啓悟がそんなのんきなことを言っているから、

「誰のせいで遅れたと思ってんだ!」

「誰のせいで遅れたと思ってるの!」

俺と梨緒とでハモって怒鳴っていた。



遊園地の前に来たときには、もう松川と梨緒の友達がいた。

「あ、みーちゃん!」

梨緒は嬉しそうにひょこひょことみーちゃんと呼ばれた友達のほうに走っていった。

みーちゃんの隣にいた松川は必死に梨緒に手を振っていたというのに。

哀れだな、松川。

そしてこれからが問題だ。

梨緒にベタ惚れの松川と、梨緒を離さない啓悟。犬猿の仲のこの二人がついに出会ってしまったのだ。

「……お前が竹都の友達か?」

啓悟が警戒した様子もなく松川に話しかけた。

「おう、竹都の親友の松川だ。えっと、梨緒ちゃんのお兄さんで?」

「ちゃん、だと……」

啓悟の目つきが少し悪くなった。呼び捨てで言っていたらどうなっていたことやら。

俺はそれを遠目で見ていた。梨緒とみーちゃんとやらは二人でおしゃべりをしている。みーちゃんは梨緒の話にこくこくと頷いていた。

みーちゃんというのはお姉さん的存在らしい。

「ま、そうだけど。オレの妹はさぞかし優秀だろう、お前の足元に及ばないほどだ」

いや、松川の足元にも及ばないって、逆じゃないか?

早速頭の無さを公開してしまった啓悟だが、これで自慢ができるのだろうか、いや、自慢どころか恥じゃないか。

しかし。

「いやぁ、本当に梨緒ちゃんはしっかり者で、羨ましいっすね、あんな妹」

……

松川もあのミスには気付いていないでナチュラルに会話を進めていた。

お前、どうして俺と同じ高校受かったんだ……!

まるでレベルが啓悟と変わらない。

「じゃ、これからよろしくお願いしますね、お兄s」


「だあれがお兄さんだぁぁああぁぁぁ!!」


いきなり啓悟ががば、と両手をあげて怒りを表した!

ここ、遊園地の切符売り場の近くだぜ……?

もちろん周りにはたくさん人がいるわけで。

梨緒が顔を真っ赤にしてその小さな身体で啓悟のわき腹にタックルした。


松川は啓悟の逆鱗に触れた!

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