入学編 後日談
どうも、梅田冬子です。
竹都とか啓悟の小さい頃の友達……つまりは幼馴染って事で、でも梨緒ちゃんぐらいの幼馴染じゃないって言うか、もう中学2年生くらいからどんどん距離が空いてっちゃったんだけど……
とにかく幼馴染なの!
……そんな私は今悩んでいます。
だって、だって!
今週の日曜日、いきなり遊園地に誘われたの!
誰に? もちろんあの、竹都よ!
竹都に誘われて嬉しくないっていうのは嘘だけど、でもなんだかどきどきして……
メールが来た時つい叫びそうになっちゃったの。
で、そのままメールをスクロールしていったら、なんとあいつ、何て書いてあったと思う?
あ、梨緒の入学祝いだからあんまりはしゃぐなよ。
って……
何!?
何なのよ!
どうせ私はおまけよ、おまけ! でもそんな風に冷たい態度は無いわよ、誘っておいて!
私はついいらっときて机を叩きそうになる。でもそんな乱暴なことしない。私はもうちゃんとした淑女なんだから!
とか色々おかしいテンションなりながらどんな服にしようかうんうん考えているのだけれど……
竹都が好きそうな女の子、って、どんな子だろう?
やっぱり、梨緒ちゃん、なのかなぁ……
そう思うとため息が出るわ。だって、複雑。
中学2年以来梨緒ちゃんとは会ってないけど……どんな子になっているのかしら?
あの時、竹都と一緒に待って梨緒ちゃんに挨拶すれば良かった。そうすれば待っている間竹都と久しぶりにちゃんと話したり……でも、そうやって話しても、きっと私のことだから冷たいことしかいえなくなっちゃうのよね。
またため息。
なんでこんなに自分って素直じゃないんだろう。
そう思いながら、服を選ぶ手を止めてベッドに腰掛けて天井を見上げた。
遊園地、かぁ。竹都と一緒に遊園地。小さい頃一度あの三人組と私とで言ったけど……あの時から私、竹都の事しか見てなかったなぁ。
なんて思っていたら急に頬が熱くなって恥ずかしくて、服選びを再開する。
そうだなぁ。春らしくワンピースがいいかなぁ。でも、ワンピース……って、梨緒ちゃんのイメージとかぶっているのよね。それはダメよね、なんだか狙っている気がして。
小さい頃から中学1年の時の梨緒ちゃんのイメージって全然変わらず『子供』って感じだったから……この3年間でどれほど成長しているか分からないけど……そうね、大人っぽい服にしよう。
私はクローゼットの中から大人っぽい服をあさりだし、上下色々組み合わせてみて、一番気に入った組み合わせを着ていくことに決定。
あとは髪型ね。
とか言っても私の髪は肩ぐらいの長さだからそんなレパートリーはないんだけど。それにちょっとうねうねしてるし……
梨緒ちゃんって、すごいストレートだったよね、良いなぁ。髪も綺麗な黒髪だったし。
って、何で私が何か選ぶ時の基準が梨緒ちゃんなの!
自分で突っ込みながら、なんだか癪で、むすっと頬を膨らめてしまう。
なんだか、遊園地行くの憂鬱だわ。
乙女です。