入学編 02
「あ、あなたは……」
驚いた顔で、梨緒は松川を指さす。
「試験の日の、……梨緒ちゃん?」
松川は、梨緒の名前を知っていた。
……なんという運命の道筋。偶然よりも必然か。
あぁ、松川。存分に啓悟の恨みを受けるが良いさ。
「うわあ!竹お兄ちゃんのお友達だったんですね!」
梨緒はとても嬉しそうに満面の笑みを見せる。
「梨緒ちゃん合格したんだ!おめでとう。やっぱオレが見込んだ女だ」
最後の台詞はきっとプロポーズを意識したのだろう。彼なりのかっこいい声で言った。
その言葉に梨緒の友達が、
「えー、梨緒の運命の人じゃなさそうだね」
「変わらず竹都先輩で……」
なんか変な台詞も混じっているが……
ちなみに当の本人は。
「松川先輩面白ーい」
若干棒読み!
さすがの梨緒も呆れている!
「あ、そろそろ授業始まっちゃうよ!」
梨緒の友達が促す。
「あぁ、そろそろ教室戻らないとな」
俺は呟き、
「じゃ、帰りに」
と梨緒に言っておく。
とりあえず啓悟がうるさいから、学校は必ず二人で電車で通うことになっている。
過保護だよなぁ。
まぁ、その方がこっちも安心だ。
「んじゃ、教室戻るか」
あの反応で満足したらしく、松川はそそくさと教室へ急いだ。
俺も、それについて行った。
帰り。
松川はこの近くに家があるから電車は使わない。というわけで校門のそばで梨緒を待つことに。
そういえば梨緒、無事合格したから遊園地に連れて行ってやらないとな。
梨緒はいつ暇だろうか……
と、考えていると、視線を感じた。
……?
殺気にも似た視線を辿ると、俺のすぐ横にとある女子生徒がいた。
同じ2年生の……梅田?
梅田冬子?
「な、なんだよ」
若干恐れながら、俺から見れば背の小さい梅田を見下ろす。
「……1年生の梨緒ちゃんを待ってるの?」
「そうだけど」
梅田冬子は梨緒の存在を知っている。俺と小学校、中学校と一緒だったのだ。梨緒に何度か会ったことがあり、梨緒がここを合格したことも知っている。
いつも睨んできてあまり好きにはなれない。悪い子じゃないのだが……
中途半端だけどここで切ります。更新しなくてすいません…っ