受験編 後日談
「数学はいつもより頑張ったよ!」
今日はゲームもせずにリビングのテーブルを三人で囲み、お菓子を食べていた。
「面接はどうだった?」
「ちゃんとできたよっ」
梨緒はにっこり笑って自信満々に言う。
自信がありすぎるところが少し不安だが……
「数学はいつも通り!」
「おう!さすがは我が妹!」
いやいやいや。
数学いつも通りはやばいだろ。
などと突っ込んでいると、
「そうだ!受験後に学校を出ようとしたら、迷っちゃったの!」
梨緒はうきうきしながら話し出す。
それはそんな嬉しそうに話すことなのか……?
とにかく、梨緒の話を聞こう。
「それでね、自分がどこにいるのか分からなくて、すごく不安になってたんだけど、上級生の人が声をかけてくれたんだ〜」
「ほほぉ。それで梨緒は無事に帰ってこれたのか」
啓悟はふむふむと関心したように頷いている。
普通は受験日は受験生だけが学校いくはずなんだが……梨緒のその人へのイメージを壊さないように何も言わないでおこう。
「良かったな、梨緒。早速上級生の女友達ができて。オレも安心だ」
「え?」
啓悟が満足な笑みを浮かべて言う一方、梨緒はぽつんと発する。
長い沈黙の後、
「え?」
やっとのことで啓悟の頭に伝達されたらしい。
「女の先輩じゃないよ」
梨緒は先ほどと同じ、冷静な口調で言う。
「男の先ぱ」
「梨緒!そいつとはもう会うんじゃない!絶対梨緒を最初から狙って良い顔したんだ!もうそいつとは顔を合わせるな〜!」
啓悟は立ち上がって熱く、いや、暑苦しく語る。
「そんなぁ、でも大丈夫だよ!だって高校には竹お兄ちゃんもいるんだしッ」
梨緒はいきなり俺の腕に抱きついてきた。
ちょ、まだ心の準備が……ッ!
「むきぃーッ!梨緒から離れろ、竹野郎〜!」
「竹お兄ちゃんがいれば安心だもん〜」
俺を挟んで喧嘩をするな!
そしてなんでもう合格した気分なんだっ。