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詩集
詩人の本懐タグ集です。
『蛇口』
閉じたままの涙腺を、こじ開けてくれる人を願う身勝手さ。
『結末』
点と点の先にある可能性
『末路』
唯一つの足跡の果て果て
『描写』
寝る月の眩さも
体温を奪う秋風の冷たさも
あなたの薬指の白銀には敵わない
謝罪に紛れて引き寄せられる心
謝罪とともに離れ行く二つの体
背中を向けて階段を下りていく影を踏んだ
数秒だけ、彼を縫い止められるような気がして嬉しかった
束の間の幸福。外れない現実。
振り返った彼は辛そうに笑んだ。
『縮図』
「この部屋の状態が現実なんだよ」
入れ代わり立ち代わり出入する他人。
玄関先で泣き崩れる人。
遺された者はただ一人。
「この人にとっての最期だ」
取り繕っても事実は変わらない--
男は部屋をあとにした。