36/45
路傍の光
右も左も前も後ろも形だけ。
当たり前のように眼前の路を進み、当たり前のように渡る。
何かを埋め込まれたみたい、当たり前を繰り返す。
まるでロボットだ。感情を排し、人間である要素は言語能力だけだろう。
刻一刻と近づく機械。
どこを見ても無関心の文字列。
「おかあーさあーん」
迷子の子どもにすら声も掛けられない。
「大丈夫?」がなくなる自助の時代。
そうして当たり前が当然になった頃。
路傍の人の曖昧さを知る。
「ありがとう」も「さようなら」も
言いたくなった時には、誰もいないのだ。




