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業火のユメ
目まぐるしく移り変わる視界
膨れて揺れて世界は堕ちた
寒雲解ける駅に迷い込む綿虫
凩吹くオフィス街に咲く帰り花
重い裾翻し固く響く靴の跡に映る色はなし
山嶺に溶け込む逆さの屋根から
ヤコブの梯子が降り注ぐ
天地交わる日の終わりを仰ぐ者はなし
分水嶺の外れに立って
あの世とこの世を行き来する
揺蕩う魂魄 渡せぬ記憶
渡し守になれぬ普通のアナタ
水面に映る誰かに問うては
いない、いない、と泣きじゃくる
居たい、痛い、誰もいない。
六文銭を渡しても首を振る媼
淀む深い溝を行くも首を振る翁
天地何処にも行方知れず
純白そよぐ花園に出ると
縁切れぬ者に手を振られ
天と地が逆転した
夕焼け溶ける駅に飛び込む火取虫
陽が差すオフィス街の花茨
首元を扇ぐ指先から洩れる熱に色が灯る
山嶺に広がる綿雲から
ヤコブの梯子が降り注ぐ
天地交わる日の終わりを仰ぎ見る者がいた
二度はない 一度と知る
輪廻転生の邪の道を
巡り巡って
業の中
赫色の炎に身を焼かれ
いいよ、いいよ、と罪を降ろす




