22/45
何者でもない願い事
「正義のヒーローになりたいんじゃない。普通にいきたいだけ」
「どういう意味?」
「そのままの意味。愛も勇気も要らないから、ただ〝人〟として生きて、逝きたいだけ。本当に〝ただ〟それだけ」
「ふうん。なんか普通なんだね。男の人は何歳になっても格好良く死にたいもんだと思ってた」
「人それぞれだよ。君の願いは?」
「うーん。大金持ちになって楽になりたいとかかな。ほら、やっぱり、さっきのクリスマスの願い事は〝ありきたり〟だって」
当たり前だと言える今日は、君の帰宅に合わせて部屋の飾りつけをしたり、君の代わりに料理を仕込んでおいたりしたからなんだよ。
僕が帰宅した真っ暗な部屋の温度を君が知ることはないだろう。
そしてこれが最後の二十五日だということも――




