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夏の恋防
入梅雨の前から田畑を照らしていた。
長雨に打たれても必ず上を向いた。
下を向くときは愛に焦がれたときか妬かれたときだと、自然界の仲間は思っていた。
その身に降り注ぐ熱情を一心に浴びて萎れる様も神々しい。決して背けることなく光を求める様は猛々しい。
太陽色の花の生涯は、どちらの一方通行だったのだろうか。
息苦しいまでの加護と意地らしいまでの忠義。
天地の愛の栄冠はどちらに輝く?
蝉の声が消えていく。命の期限内に折れるのは夏の覇者か神様か。見届けるのは空蝉の音だけ。
恋防と書いて(こうぼう)と読みます。




