言葉貯金
Twitterに投稿した『言葉貯金』という掌編です。タイトル(仮)になっている理由は活動報告に記載しますので、そちらにも目を通して頂けると幸いです。6/27追記:短編を投稿しましたので、(仮)を外しました。
箪笥の引き出しには思い出せない、口にできない、形に出来ないモノがたくさん眠っている。それは後生大事にする為のモノではないけれど、何かを守る為であったり、理解しているだけであったり、とにかく取り出せないモノに変わりはない。
鍵もついていない古い和箪笥。金は六文だが、彼岸には閉じ込めていたままの言葉が必要なのかも、持って行けるのかも定かではない。あれば助かる、なければ困る箪笥貯金とは異なる、我が家の箪笥の中身。
国や愛する者を守る為であったり、己の為であったり、墓場まで持っていくには重すぎるから箪笥の肥やしにしたモノもあるだろう。
いつかは使ってみたい、いつかは伝えてみたい、けれども傷つけてはならない無数の言葉が大切に仕舞われている普通の箪笥。
幾人の記憶と感情が詰まった、明るく仄暗い人生を共にしてきた灰色の箪笥。
スっと開けては新たな言葉を入れて眠らせて、最期の瞬間「使い切った」と穏やかに笑いたいと願う薄暑の夜。




