学校にテロリストがくればいいのに
『学校にテロリストがくればいいのに』
誰もが一度は、こんなことを想ったことがあるのではないだろうか。
別にテロリストに限らなくてもいい。
例えば学校に爆弾が仕掛けられて爆発するとか。何故か学校に竜巻が襲ってきて崩壊するとか。隕石が学校に落ちてストライクアウトをかますとか。そんなことに想像を駆らせたことはなかっただろうか。
この世界を退屈だと思ったことはなかっただろうか?
繰り返される毎日に、そんな日常を壊してくれる存在を望んだことはないと胸を張って言うことができるだろうか?
「こんな日常なんか、壊れてしまえ」
俺はもううんざりだった。
家でも学校でも勉学を強いられることも、退屈でしかない授業を受けるためだけに通学路を歩く時間も、過ごしてしまえばただの暇つぶしでしかなかった部活動も。代り映えのしないこの日常が苦痛だった。
この日常を壊したかった。
そして、俺たちは今日、この日常に反撃の狼煙を上げる。
その狼煙を上げる前に一度、この思想を抱いた同志と互いに顔を合わせた。お互いの死んだ魚のような目に思わず口元が緩んだ。
そして俺たちは改めてスイッチに向き直る。
そのスイッチが設置されている場所は誰もいないある教室の教員用の棚の壁。
そして俺たちはそのスイッチに手を伸ばした。
「こんな日常なんか、壊れてしまえ」
ボタンが食い込む手ごたえが全身に伝わると同時――――
『――――ただいまより、第一音楽室で緊急集会を開きます――――』
校内放送を知らせるチャイムが木霊した。