客人
ハルと一緒に暮らしてから2ヶ月が経った。
全体的にふっくらと肉が付いてきた。これもハルのおかげだ。
ハルは私に美味しい料理を食べさせてくれる。
愛を囁いてくれる。大切にしてくれる。これほど満たされるものはない。
ふと、トイレに行きたくなり、目が覚めた。隣にはハルが寝ている。寝ているハルは少し幼く見えるがそこがまた愛しい。
起こさないようにそっとベッドを降り、ドアを開ける。寝室にはトイレが付いていないため、少し遠いが歩いて行かなければならない。広い屋敷は大変だ。
そういえば、私はこの屋敷でハル以外の獣人を見たことがない。
一人で暮らしていたんだろうか。
そんなことを思いながらトイレを済ます。寝室に戻ろうとしたとき突然目の前に知らない男が現れた。
「あれ?何でこんなところに人間がいるのかな?」
そう言って私の顔を覗き込んだ。
どこかの貴族だろう。整った顔立ちに少しタレ目な碧い瞳。髪は癖のある金髪で少し派手な茶色いジャケットの中にピタッとしている緑ベストは彼によく似合っていた。
「もしかして君が噂の子かな?」
そう言って私を壁に追いやり、それを抵抗しようとした私は男に両手を私の頭の上で押さえつけた。何も出来ない。キッと男を睨み付ける。
それを無視するように裾を下からゆっくりと紋様が見えるとこまで上げ、男は太ももにある紋様に触れる。スゥ、と撫でられた感触にビクッと体が揺れる。
「ハリベルの紋だ。ふーん、君が番か…」
そう言ってジロジロと私を見てニヤリ、と笑う。
どこから出したのか分からないがナイフのような刃物を手に持っていった。それを私の首に当てる。少し力を入れられ、ピリッと痛みが走った。切れた皮膚からプク、と血が滲んでいる。
そして私の耳に近づき、囁いた。
「ねぇ、どうやって取り入ったの?」
押さえられている両手にギリッと力を入れられる。痛さに顔をしかめ、涙が浮かび上がってきた。
次の瞬間、ゾクッと体中にに鳥肌が浮かび、恐怖に膝がガクガクと揺れる。
「あれ?もしかして怖がらせ…ガッ」
私が恐怖で震えたのはこの男じゃない。彼を素手で首をつかみ、ギリギリと首を絞めているハルに恐怖した。だがそんなことはどうでも良い。私はすぐさまハルに抱きついた。
そしてハルは男を放し、シェリーの頭を撫でる。
「ハルっ」
「シェリー、僕から離れちゃいけないじゃないか」
「ごめんなさい」
「どこも怪我してな……」
ハルはある一点を見ていた。
「あ、これは…」
慌てて首元を押さえる。そこには男が付けた傷があった。
私の言うことに耳を傾けず、首を押さえて咳き込んでいる男を思いっきり蹴る。男は血を吐き出しながらものすごい早さで吹っ飛んでいった。
「もぉ、酷すぎるよ」
そう言ってムクリと立ち上がり、身なりを整える。傷はもう塞がっていた。
「ライナス。お前が女にだらしがないのは分かっているけど、僕の物に手を出しちゃいけないよ」
「やだなぁ、俺の親友が悪い女に唆されてないか見にきただけじゃないか」
「僕はお前の親友になった覚えはないよ」
「照れ屋さんなんだから」
そう言って私の目の前に来て帽子を取り、お辞儀をした。
「そこの可愛い番姫。俺はライナス・シェルバーソン。よろしくね」
私の手を取り、手の甲にキスをしようとしたがそれはハルによって阻止された。
残念、と言って一瞬で姿が消えた。
「怖かったね…首元、直して上げる」
私の首元に顔を近づけ、傷口を舌で舐めた。
ピチャッ、クチュと音が響く。
その舐められる感覚にゾクッとする。
「ん、……はぁ。やっぱりシェリーの血は甘いね」
そんなに甘いのだろうか。
「ふふ、こうやってキスをしてシェリーの痣を消したんだよ。もちろん隅々にね」
私は顔を赤らめた。確か痣は足の付け根や、お尻とかにもあったはずだ。……恥ずかしい。
「恥ずかしがることはないよ。シェリーの体はとても綺麗だ」
綺麗。そう言ってくれるのはハルだけだ。
「助けられなくてごめんね。普段あんまり寝ないんだけど、シェリーと寝ると気持ちよすぎて中々起きれなくてね。次からは気を付けるよ」
「……うん」
「さて、お風呂に入ろうか。ライナスの匂いが付いてるのは気に入らないな」
「うん」
ライナスの匂いが付いてるのか私には分からない。
だがハルは不快そうに顔を歪めていた。
風呂では身体中を念入りに洗われ、二人一緒に湯船に浸かった。
そして寝る前に愛を囁き合い、抱きつくように眠った。
まさかその幸せが崩れることになることを私はまだ知らない。
いやぁ、3日、4日?更新できず、誠に申し訳ない。
ネット繋がらない事件が起こり、私を苦しめ続けた。youtubeもグラブルもスクフェスも見れないことにイライラが募るばかり。
数日経った今小説を見ていると自分の書いた小説糞やなってなる。新しい小説書きたい。