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始まり

この世界には人間が"存在していた。"

いや…今も存在しているが、それは数少なかった。


それは突然のことだった。人間との間に獣人が誕生したのだ。

人間は自分達よりも異なる姿を見るとそれを排除しようとする。

産まれた赤子を殺し、これで一安心と皆は安堵していたが、やがて獣人は次々と誕生していった。


しかし次第にそれが普通になっていた。

人間よりも獣人の方がが優れていたからだ。人間には無いはずの魔力や人間とは思えない腕力、脚力があった。


ごく稀だが、人間のまま産まれることもある。

生き物というのは差別が好きだ。やはりそこには優劣があり、人間は奴隷へと成り下がった。


そして私は人間であり、奴隷でもある。

元は貴族だった。私は獣人との間に生まれた赤子だった。

私は人間に生まれたせいで親からは蔑まれ、化け物だと子供達に言われる。

化け物とは私のことを指しているのだろう。それは人間だからではない。アルビノという生まれつき色素が無い髪に赤い目をしていたからだ。


ある日私は奴隷にされた。奴隷の証として店主しか開けられない首輪を着けさせられる。反抗したり、脱走しようとしたりすると首輪の中にある痺れ薬が針で刺されるのだと店主が言っていた。


そんなの気にもせず度々脱走しようとするが、やはり痺れ薬が効いたのか体が動かない。そこに駆けつけた店主が私を見つけてたくさん殴ったり、蹴ったりされる。そんな日々が続いた。


2年経ち、私は店主のメイドに両腕を捕まれた。咄嗟のことに驚いて反応が遅かったが抵抗しようすると首にチクッと痛みが走る。

次第に体が痺れてきた。

キッとメイドを睨む私を気にもせず水を掛けられ、そしてブラシで体を洗われる。黒い長袖で足首まであるワンピースを着せられた。これは身体中にある痣を隠すためだろう。


そして私は悟った。売られるのだと。


鏡の向こうに映っているのは私。髪に色素が無く、傷んでいる。栄養が行き届いてない貧相な体だ。そして日光に弱く、肌が陶器のように白い。そして赤い目。


奴隷達は私を恐れていた。同じ人間だというのに姿が違うだけで人間の目には化け物に見えるらしい。だがそんなものは気にしない。


誰かが部屋に入ってきた。店主だ。


「喜べ、お前にご主人様が出来たぞ。可愛がってもらえよ」


私を嘲笑い、豚の獣人はその大きな腹をブルンと揺らせる。二足歩行だが飾りと服を着ていなければ完全に豚だ。


奴隷達がヒソヒソと話していたのを思い出す。獣人は人間の姿に近いほど魔力も強いらしい。

獣人にも階級が存在する。王族・貴族・平民と、人間と同じようだ。最も、人間の階級は滅んだが。


店主の話を聞くと何でも私を買うのは王族らしい。私を売らせないように前金を貰っているとか言っていた。王族が何で私なんかを買うのか理解できないけど…こんな私を買うなんて物好きな王族だ。


今は大人しくしておこう。きっと隙ができる。そのときに逃げ出せばいい。


そう思いながら王族が待っているという客間に入った。


「ハルベルーシュ様、娘を連れてきました」


気持ち悪い笑みを浮かべ、手を揉みながら店主は言った。


「ありがとう」


ハルベルーシュという男はとても美しい人…いや、獣人だった。

闇よりも深く黒い腰まである髪を一束に結い、肩に流している。翡翠を嵌め込んだような澄みきった瞳。

そして整った顔立ち。細身だが程よくついた筋肉。そして物腰が柔らかい。どれも完璧だった。


ハルベルーシュと目が合うとニコリと微笑まれた。私は敵意むき出しで睨む。


「ところで店主、何故彼女は口を縛られているのかな?」


「何ぶん躾のなってない小娘でして、すぐに私どもに噛み付くのですよ」


そう。私は口を布で縛られている。喋れないし、噛むことも出来ない。自分を守る武器がなく、歯で抵抗していたが口を縛られていてはなにもすることが出来ない。


「今すぐ首輪を取ってくれないかな」


「は、ですが…」


「…いいから」


先程まで笑顔だったハルベルーシュは急に無表情になり、声を低くさせて魔力を放出させた。体がビリビリと電気が流れてくるようだ。そこには恐怖しかなかった。


魔力が無い私でも感じとることができる。これが王族なのか。


店主は震えながら私を縛っていた布を解く。

口元の違和感がなくなった。


「こっちにおいで。」


本能が従えと言っている。逆らってはダメだと。

ふらふらとハルベルーシュに近づく。


「いい子だね。」


そう言って私の頭を撫でようとする。

殺されると思った私はハッとして、ハルベルーシュの指を尖った八重歯で思いっきり噛んだ。それは血が出るほどに。

ふぅー、ふぅー、と興奮している私を見て、ハルベルーシュは頬を染めて嬉しそうだった。


「な、何をやっている!」


その様子を見て今まで固まっていた店主が私の行動を見て腰につけていた鞭を取りだし、私に向かって打ったがハルベルーシュによってそれは止められた。店主に向かって睨んだ。すると店主はバタッと倒れた。その様子を気にもしないハルベルーシュは私に視線を戻した。



「ふふ、もっと僕に痕を付けていいんだよ。」


ゾッとした。痛くないのだろうか。バッとハルベルーシュから離れる。


「あぁ、でも残念だ。獣人はすぐに治ってしまうからね。」


そう言ってハルベルーシュは自分の指を見ていた。私もつられるように見たが、私は目を見開き、驚いた。私の噛んだところがまるで何事も無かったように綺麗に治っていたのだ。

口内にじわりと広がる鉄の味に顔を歪めつつもいつ殺されるか分からない状況で私は瞬き1つせずハルベルーシュを警戒する。


「まさか血を飲んでくれるなんて思わなかったよ。」


血を飲むと何かあるのだろうか。そう考える前に身体中が熱くなった。あまりの熱さに私は絶叫する。


「あ"ぁ"ぁぁぁぁぁぁぁ!」


暫くして体全体にある熱が左の太ももに集中する。

熱さに耐えられなくなった私は気を失った。


地面に倒れそうになったとき、ハルベルーシュが支えてくれた。


「あぁ、やっと手に入れた。」


ハルベルーシュは、太ももに"ある物"を見ようと支えたままワンピースの裾を持ち上げた。だが目に入った足にあるたくさんの痣を見て眉を潜めた。おそらくこの店主がやったのだろう。

腰につけていた剣で床で気絶している豚の首をはねた。床にはコロコロと豚の首が転がる。そして首の動きが止まる。その周りには黒い液体が広がり、鉄臭い匂いが広がる。


「僕の物に傷付けるなって言ったの覚えてないのか?」


そう聞いても答えは帰ってこない。何故なら死んでいるから。


少女の方に向きなおり、もう一度裾を持ち上げる。そこに見えたのは太ももに無かったはずの紋様のようなものが浮かび上がっていた。

ハルベルーシュは少女の太ももに指を滑らせる。

くすぐったいのか、少女は身じろぎした。


少女の一つ一つの動きが愛おしい。クスッと笑い、額にキスを落とす。


「お休み、シェリー」






初めまして。紫乃です。飽き性の私ではありますが、どうぞよろしくお願いします。

なにぶん語学力がなく、思い付きで話を書いているので途中から話が変わるかもしれませんが指摘していただくと嬉しいです。誤字とかも報告お願いします。あと、アドバイスとかも頂けたら光栄です。説明不足ではありますが続けられるように頑張ります。


流行りで好きだったけど読みすぎて飽きてしまった(悪役令嬢)ヒステリックなハルベルーシュの婚約者候補が出ます。高飛車で傲慢な令嬢が叩きのめされるのってスッキリしますねw


さて人物紹介です。


・シェリー

食べ物が好き。ややツリ目で警戒心が強い。アルビノ。

ハルベルーシュのことを愛称でハルと呼んでいる。

ちっパイ(作者の趣味)。1日中ハルベルーシュといる。

150㎝くらい。


・ハルベルーシュ

第2王子。女性にモテる。シェリーしか興味がない。変態。

シェリーを膝に乗せるのが好き。黒豹の獣人。180㎝くらい。



とこんな感じです。


やっぱりイケメンじゃないと話は盛り上がりません(作者的に)


それでは、さようなら。



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