~幕間~とある執事の回顧録
私の名は、ハワード。
我が主である、お嬢様の執事である。
お嬢様とは、誰かじゃと?
そんなのは、私が敬愛する“来葉るり”様に決まっておる!
ふむ、少し熱くなってしまったようじゃ。
もう少し冷静に・・・じゃな。
さて、ここには、私が経験してきたことを記すとしよう。
ふむ、まずは、お嬢様が幼い頃の話をしようかの。
お嬢様が幼い頃は、人見知りでの・・・。
ご自宅に引きこもりがちで、外よりもご自宅で、遊ばれることが多いようじゃった。
そんなお嬢様が変わられたのは、ある夏の夜じゃった。
その日は、とにかく暑い熱帯夜での、外の涼しい風を入れるため窓を開けたのじゃ。
そうしたら、お嬢様は目を輝かせ、こう言った。
「ねえ、爺! あれ、見て! 魔法少女じゃない?」と、しかし、私が見たときには、既にどこかに行ってしまわれたのか、何も居なかった。
そのことで、「爺は、見るのが遅い!」などと、お嬢様からお叱りを頂いてしまったのじゃが・・・。
まあ、そんなことは些細な問題である。
なぜなら、あまり表情を見せることがなかったお嬢様が、こんなにも目を輝かせているのである。
執事である私としては、とても嬉しい限りである。
そんなお嬢様が、「私も魔法少女になりたい!」と、おっしゃった。
しかし、私以外の者は、「それは、難しいお願いで御座います」などと言って、お嬢様をなだめた。
だが私は、お嬢様のあの笑顔を守るため、できることならば全力でお手伝いすると決めたのじゃ。
お嬢様が、星にお願いしたいとあらば、星の良く見える場所に別邸を用意した。
動物に会って話をしたいとあらば、動物園を用意した。
じゃが、お嬢様の願いは叶うことはなかった。
当然といえば当然なのじゃが・・・。
次に、お嬢様は、「魔法少女が既にどこかにいるのでは?」と、おっしゃられた。
そこで、私はあらゆる手段を使い全国を探し出した。
本当に見つかるとは思わなかったが、奇跡は起きたのである。
見つけたのは、1枚の写真じゃった。
ペンを浮かせる少女が映るその写真は、あるTV番組の企画に寄せられた写真じゃった。
実際には、その写真が番組に採用されることは、なかったのじゃが・・・。
私は、その写真を頼りにその少女を探し出した。
そしてすぐさま、お嬢様に報告をした。
もちろん、お嬢様は、それを聞き目を輝かせておった。
その後、私はその少女をさらに詳しく調査した。
その少女は“有芽知まほ”という名のようだ。
調査を続けた結果、驚くべき報告を聞くこととなった。
その少女の周辺で、常識では説明できない不可解なことが、次々と起こるというのである。
その報告聞き、お嬢様の予想が正しかったのだと、私は驚くばかりである。
その少女に会ってみることとなった。
しかし、お嬢様に何かあっては問題である。
お嬢様を影からお守りするため、その少女が通う学園を建て替え、隠し通路などを設置した。
お嬢様は、それについて驚いておったのじゃが、まあ、些細なことじゃろう。
さて、多少の紆余曲折があったものの、その少女とお嬢様は、接触に成功したようじゃ。
そして、友人となられたようである。
思えば友人と呼べる友人は、その少女が初めてではないか?
お嬢様の成長には感無量ではあるが、その少女、まほ様にも感謝である。
まほ様が動き出した。
屋上に向かうようである。
戦力増強のため呼んだフォスターとメリッサを連れ、後を追う。
途中、まほ様に壁越しに凝視され、焦りもしたが無事尾行に成功する。
お嬢様と連絡を取り、まほ様の向かった屋上へと足を運ぶ。
そこで、驚くべきものを目にする。
まほ様は魔法少女となり、異形のモンスターと対峙していたのだ。
状況を見るに、劣勢であった。
お嬢様は、まほ様を助けるとおっしゃられた。
私はその望みを叶えるため、学園に設置した隠し部屋より武器を調達する。
お嬢様はその武器をお使いになられ、見事モンスターを消滅させることに成功する。
何はともあれ、お嬢様とまほ様が御無事でなによりである。
その後、屋上から戻る際、まほ様のご友人を発見し、見つかる前に隠れる。
お嬢様を置いてきてしまったのが悔やまれるが、お嬢様なら大丈夫じゃろう。
まほ様と別宅にて話されることとなった。
まほ様の話には驚くばかりであった。
お嬢様にサンタクロースへのお願いとして、魔法のステッキを求められてしまった。
さて、どうしたものか・・・。
本物・・・を用意するのは無理じゃろう。
ならば、来葉グループの力にて、近いものを開発してみようかの。
ふむ、お嬢様は、まほ様とモンスター退治をなされるようじゃ。
危険ではあるが、お嬢様が望むのであれば全力でサポートするとしよう。
さて、お嬢様の戦闘衣装はどうしようかの・・・。
前回と同じ、「みすてばすれいん?」か、それとも他の戦闘衣装にすべきか・・・。
お嬢様に聞いた所、「爺にお任せするわ!」とのこと。
ふむ、メリッサとフォスターに相談してみるとしよう。
彼らなら、良い意見をくれるはずじゃ。
・・・少し話が長くなってしまったの。
続きは、またの機会に記すとしよう。
幕間を入れてみました。
いつもより短め。
執事ハワードによる、この章のまとめのようなものです。
とりあえず、一区切り。
次回から新章予定です。