魔法少女☆ショコラクイーン~そんな事よりも寝たい~
…私は安藤美紀。職業は魔法少女で時給980円。
先輩の城ノ内はラリッた目で私を見て『おんなのこだぁ~』とか涎垂らしながら言っていた。
いや…魔法少女か。確かに昔はセーラームーンとか見て魔法少女に憧れたりはした。でも今の私はメイクもしないから只のモテない女子大生だ。モテないのはタバコをガッバガバ吸ってるせい? 中学生から服が変わってないせい? 目つきが悪いせい? ………違う、違う! これは…私が悪いわけでは無く、周りの男の見る目が、その、ないだけであって。多分ね、多分!
さて。
私はショコラクイーンだ。んで先輩の城ノ内はミルキースイート。これでも一応日曜の朝子供たちの視線を釘つけにしている。だけど子供たちはこのショコラクイーンが黒ずんでいる肺って事も知らずに応援してくれるんだろうなぁ。何か可哀想だ。こんなにも魔法少女界は廃れているというのに。
「…んな事より寝たい」と言って私は寝床に入り込む。
だが私の顔面にスマホが落ちて「寝んなよ。勤務だ」とかワーキャー喚きやがる。「ふざけんな、この偶像スマホ」「スマホで悪かったな」「使い魔はいつから配布?」「この俺様が使い魔だ」「…壊すぞ、スマホ」私は起き上がりテーブルの上にあるタバコを手に取り吹かす。
「こんなんだからモテないんだ」「うっさいわね。ニ十歳超えてんだからいいでしょ」「モテない女」「あーあーあーあーきこえませーん」
そんなこんなで煙草ばっか吹かしている私は今日もこんな感じで魔法少女になる。いやもう私の年齢は少女じゃなくて魔女になるんだけども。




