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009 2日目:再会

お気に入り登録20件ありがとうございます。

諸々の用事を済ませてから書き出すのでなかなか書き進める事が出来ていませんが、最低でも週1投稿はしていきたいと思いますので宜しくお願いします。

 逃げる僕の後ろから4体のゴブリンが追いかけてくる。素早さには自信が有ったのにさすがスライムだということか?それともLv3てだけで能力が飛躍的に上昇してるんだろうか?大量にアイテムを手に入れていたから絶対に死に戻りなんてしたくないっ!って逃げ出したんだけど全然突き放せない!

 一応は戦おうとしたんですけどね?4体同時攻撃をかわし切れずに2撃貰い、HPの半分も減ってしまったらもう勝てる見込みが全くない。Lv1ゴブリンでも10回以上体当たりしないと倒せないのに4体同時攻撃を全て避けつつ何十回も体当たりするなんて無理ゲーすぎる。

 フィールド上を敵が居ない方へ居ない方へと全力ダッシュを繰返していると、進路上に芋虫の影が浮かんできた。マップ上では青●印なのでプレイヤーである事は確認出来た。

「すいませーーん!ちょっとどいてくださーーーい!」

 注意を促すべく叫んで少し距離を置いて横を走り抜けようとしたその時、いきなりグリーンキャタピラのプレイヤーがコッチに向かって糸を噴出して来た!

 噴出された糸はゴブリンの振り上げた棍棒を捕らえ、ゴブリン自身の体へ次々と巻きつけられてゆく。 糸で腕ごと体をぐるぐる巻きにされたゴブリン達は、続いて吐き出された光るエフェクトを纏った糸によって切り刻まれて消えて行った。


 あまりの手際の良さに呆然としていると、グリーンキャタピラの人が僕の方へ近づいて話しかけてきた。

「いやー、長い時間逃げ回ってたみたいだったから手助けしちゃったけど、大丈夫だった?」

「はい、大丈夫です。助けてくれてありがとうございました。」

「は~、他人に対しては相変わらず丁寧な喋り方ねぇシロっち君。」

と言いながら、僕を見てクスクスと笑っている。

・・・え?と少し呆けた後、あわてて相手の名前を確認すると・・・『クロっち』!?

「えっ?えっ?マジであのクロっち?」

「『あの』がどれを指しているのか分からないけど多分そのクロっちだよ♪」



 彼女、「クロっち」こと黒田(くろだ)千夏(ちか)は、僕をVRゲームに引きずり込んだ張本人だ。元々は同じゲーム趣味って事で意気投合し、同じMMORPGでコンビを組んでプレイしていたんだけど、中学3年最後の大会が終わり部活を引退した後、VRゲームで一緒に遊ばないかと誘われたのだ。

 以来、身近にモンスターを感じることの出来るVRゲームの虜となってしまったという訳だ。

 その後、彼女は高校に上がるタイミングで親の転勤で遠くに行ってしまい、ネトゲにもINしてこなくなった為、連絡が取れずに今に至っていた訳だ。ちなみに携帯はその当時親が持たせてくれんかったので連絡先の交換はしていない。


「いや~引越しのゴタゴタが終わってINしてみたら既に和君別のゲームに行っちゃってたでしょ?連絡取れなくて焦ったよー。でもこのゲームならモンスターLOVEな和君はきっとプレイするだろうと思って張っていたのだよふっふっふ。」

「モンスターLOVEて…、まぁ否定できないけどね。あと、今ネトゲ中なんだから名前名前っ!」

「おっと、ごめんね~シロ君。とりあえず安地(安全地帯:セーフティゾーン)に移動しよっか。」

 て事でオーネストの街の門前にある安地に移動して、引越しから今に至るまでの積もる話に花を咲かせていた。


「ところでクロっちは今グリーンキャタピラって事は、進化先はマンティス系?」


 昆虫族は、最初に選択できるのがグリーンキャタピラだけだが、攻撃系、補助系のスキルレベルの割合によって進化先が3つに分かれている。攻撃系スキルレベルの合計が高ければビートル系パワーファイターに、補助系のスキルレベルの合計が高ければバタフライ系補助特化に、攻撃系補助系の割合が同じであればマンティス系スピードファイターにそれぞれ進化する事ができる。

 クロっちは今までも一撃よりも手数で勝負のスピードファイターだったので、当然マンティス系だと思ったのだが、

「ふっふーん、それは転職してからのお楽しみ♪」

とはぐらかされてしまった。…またなにか変な事考えてるよこの人。

「シロ君は今何やってんの~?」

「僕?僕は今NPCのクエストをのんびり消化中だよ。」

「えー?NPCのクエストって実入りが全然だって話じゃん。どうしてそんなんしてるの?」

「いやだって僕スライムだし、攻撃力がめちゃめちゃ低いんだよ。ここのモンスターのLv1だとしてもミニスライムとは溶かし合いで一匹倒すのに10~15分かかるし、ゴブリンはよっぽど気をつけないとすぐ倒されちゃうし、グリーンワームはパッシブスキルの効果で完封できるけどやっぱり少なくとも5分以上はかかるし。とてもじゃないけどそんなにだらだらと戦闘してるのも疲れるんだよ。それよりもフレンドリーなNPCモンスターと戯れてる方が楽しいんだよね~。」

と話すと、

「はははっ。シロ君らしいね!」

とニコニコされてしまった。グリーンキャタピラも笑うと結構可愛いと思ってしまう。ちなみに「グリーン」と名前に付いているが、性別が♀だと体の色がグリーンではなく、濃いオレンジ色の体にハート型を縁取った模様が付いている。


「NPCのクエストならスライムのドロップアイテムが必要になるクエストもあるっしょ?一匹倒すのに15分もかかってるようじゃかなりきっついよね。ちょっと手間だけど、石を投げた方がもっと早く倒せるよ?」

「石?石投げても打撃扱いになるんじゃないの?」

「うん、一応は打撃属性なんだけど、最低でも1は必ずダメージを与えられるんだよ。もちろんステータスによってダメージは増えるみたいだけどね。一定の距離を保って石投げてれば5分もかからないと思うよ。」

「へー、そうなんだ!また溶かし合いしなきゃならないかと思ってたよ。教えてくれてありがとう!」

「どういたしまして。あと石はその辺のごろごろしている地面でいくらでも拾えるよ。」

「どれどれ・・・。」

 安地から出て、石のエフェクトのあるフィールド上で調べてみるとどんどん拾うことが出来る。調子に乗って拾い捲ってると、99個手に入れたところで、重量制限に引っかかってそれ以上拾うことが出来なくなってしまったのでまた安地に戻った。

「沢山拾ってきたよ。同じ場所であんなに手に入るものなんだな。薬草とは大違いだ。」

「そだねー、薬草って採取場所から一日5個しか手に入らないし、更に大変な事に毎日採取場所ってランダムに場所変わるのよ?ただの薬草なのに手に入れるのもホント大変だわ。」

「えー、折角分かりやすく採取場所に印付くのにランダムに変わったらまた調べなおしかよ…メンドクセー。」

「え?印?このゲームじゃ調べただけじゃマップに印も何も表示されないよ?」

「ん?そうなの?」

「そうだよー、他のゲームと情報と色々混ざってない?」

「え、ああ・・・そうだよね。ちょっと他のゲームと勘違いしてたわ~。」

とっさにごまかしてあはは~とか笑っておいたけど、どういうことだろう?あの採取場所の印って他のプレイヤーには無い情報なのか…?

 クロっちは頭に?マークを出してこっちを見ていた。

 あからさまに変な態度を取ってしまったか?と焦りつつふと時間を確認したら血の気が一気に失せた。

「やべっ!もう3時過ぎてるじゃん!!!!」

 久しぶりに会ったクロっちとの話に夢中でお昼も食べずにこんな時間になってしまっていた。

 クロっちに落ちることを告げ、フレンド登録をした後また一緒に遊ぼうと約束をし、急いでログアウトした。

 妹は腹を空かせていないだろうか?

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