064 10日目: ゾンビ牛の脅威
お久しぶりの投稿でございます。
一気に行きたかったんですけど、書いていたら長くなってきたので切りました。
宜しくお願いします。
「おー有った有った。これでようやくみっつ目か…。」
今僕はラギサ丘陵に居る。
そして目の前にはボスフィールドへの入り口がある。
時刻は既に午前0時を過ぎ、辺りは薄暗く夜の様相を呈している。
いや、まあ本当に薄暗い程度なんですけどね。
あれからマヨイの森→ウズミ荒地とマップを回ってボスフィールドを探し出し、そして最後にやって来たラギサ丘陵のボスフィールドを今さっき発見したところだ。
明るい内にそのフィールドに足を踏み入れたら『辺りに腐臭がかすかに漂っている…』ってアナウンスが出たからまず間違いあるまい。
さて、その薄暗い中でもある程度近寄らないと見えない不思議な光は、おに子とゴブリンの金棒集めをしたときのムツ平原のボスフィールドより輝いている。間違い無くここにアンデットなボスがいるに違いない。
どうしよう。行っちゃう?
ヒュージスパイダー戦と比べ、装備こそ変わっていないが、壁役のおに子が加わった事で安定感は比較にならない程上昇している。
きっと大丈夫!…の筈だ!
なーんて悩む事も必要無いよな。
そのためにフィリスとヘンリーをここまで温存してきたんだし。
おに子が守り、ルーが空中から強襲し、フィリスは光属性魔法で後方支援。
ヘンリーだって、まあ防具はまだ心もとないけど夜だからパワーアップしている。ルート一緒に空中からヒット&アウェイしてもらえば良い。
僕も隙を見て体当たりとかしたい。
う~ん。非力だなぁ・・・。
スライムを選んだ時からそうなるだろうなと覚悟してたけど、いざ周りを頼れる仲間に囲まれるともう少し自分も力になりたいと思ってしまう。
…ええい、考えるのは後にして、突撃しよう。時間も既にいつもならログインしている時間だ。
フィリスとヘンリーの制限時間一杯がタイムリミットだ。
出来れば2箇所は終わらせてしまいたい。
そうして僕はペットをコンからルーに変更し、フィリス&ヘンリーを呼び出してボスフィールドに飛び込んだ。
そこはさっきまでのフィールドと比べ、周囲の景色が薄紫色をした薄いヴェールで覆われたような不気味な雰囲気に包まれていた。
見回していると、遠くから砂塵を巻き上げてこちらに走ってくるモノを見つけた。
どんどんと近付いてくるその物体は、アックスカウと思われるが、その上に乗っているスケルトンとの対比がおかしなことになっている。明らかにデカイ!!
そんなでっかいアックスカウが僕達の目の前十数メートルのところで地面を削りつつ急停止し、騎乗していたスケルトンが話しかけてきた。
「態々このタイミングでここに迷い込んでくるとは、とことん運に見放された奴らが居たものだ。偉大なるホロコープス様の忠実なる僕であるこのトロボーンが、貴様等に引導を渡してくれるわ!出て来いっ、お前達っ!」
ホロコープスの僕と自己紹介したスケルトン--トロボーンが叫んだ途端、地面を揺らしながら続々と地中から、このラギサ丘陵に出没するモンスター達が這い出し、僕達とトロボーンを直径50m程の円形に包囲して行く。
更にトロボーンの駆る大きなアックスカウの周囲にも、地中より標準サイズのアックスカウが現れる。その数3体。
どうやら戦うのは目の前のアックスカウ大小合わせて4頭のみで、周りはディバン戦のモブゴブリン。ヒュージスパイダー戦の茂みと同じ戦闘フィールドの境界のようだ。
その周りのモブモンスターも目の前の4体も、通常フィールドのモンスターに比べ、毒々しい雰囲気に包まれている。
調査対象がアンデット軍団って言ってたし、全てアンデット化した状態なんだろう。
しかし、マスターは逃げても良いって言ってた筈だがどうやってここ脱出するの!全周囲まれちゃってるよ!?
「行け!フランケンカウ!!奴らをミンチにしてしまえっっ!!」
等と考えていたら戦闘が始まってしまったようだ。
しょうがない、どうにかぶっ倒す事だけを考えよう…。
敵はトロボーンが跨るフランケンカウ(トロボーン曰く)の左右にアンデットカウが横一列に並び、僕達に向かって突撃して来ている。
もちろんおに子に引きつけて貰うんだけど、4頭全てを引きつけられるか正直微妙な範囲だ。
早速おに子が正面に立ち、ある程度敵が近付いたタイミングを見計らいプロヴォークを発動する。
挑発に乗ったのは3頭で、引っかからずにこちらに突っ込んでくるアンデットカウにはヘンリーがシャドウバインドで足止めを施している。
この辺はもうパターンだから、僕が何も言わなくてもやってくれていた。
フィリスは順番にライトウェポンを付与していっている。
ヘンリーにライトウェポンしても大丈夫なのか?……問題ないようだ。
ルーはおに子に群がる3頭に空中から踊りかかって攻撃している。
おに子の負担は軽減しているようだけど、出来ればヘンリーが足止めした1頭を集中的に攻撃して敵の数を減らして貰いたいと思ったが、見た感じ形勢が不利になっている訳でもないので、そのまま自由に攻撃させておくことにする。
僕はみんなのHPに注意しつつ、ヘンリーへと加勢に走った。
おに子が壁として耐えてくれていたおかげでアンデットカウの殲滅にまずは成功した。
僕も投石のみならず、体当たりも多用して攻撃に参加していた。
投石なんて所詮低ダメージ固定のヘイト稼ぎ嫌がらせ攻撃(偏見)でしかないし、やっぱりスピードに乗った体当たりの方がダメージが大きい。
しかも、ライトウェポンの影響なのか、体当たりの態勢になると体が淡く光るんだよね~。初めて気付いた時はびっくりしたわ。
あと、斧角の振り回しにさえ気をつけておけば、残りの突進攻撃なんて【軟体】のおかげでダメージ無いし、割と接近しても安全だったんだよね。まあ、ダメージ無くてもポーンと吹っ飛ばされてたけど…。
そんな訳で残るはHPゲージが半分を切っているフランケンカウのみだ。
おに子も敵の数が減って、反撃する余裕も出来てから目に見えて相手のダメージの蓄積速度が増えている。
このまま行けば余裕で倒せるなと、この時僕は楽観視していた。
「クッ…!てめえら中々やりやがるな!だがコイツで終わりだ!!蹴散らせッ!フランケンカウッッ!!」
「ブモオオオオオオォォォォッ!!!」
フランケンカウのHPが2割を切った頃、不利を悟ったのかトロボーンは懐から長く大きな針のような物を取り出し、自ら騎乗しているフランケンカウの頭にそれを突き刺した。
針が半ばまで埋め込まれた途端、フランケンカウの瞳が不気味な紫色の光を発すると雄叫びを上げ、紫色の暗い光がオーラの様にフランケンカウの全身を覆い尽くした!
「ブモオオオオオオォォォオォ!!」
前足で地面を掻き、更にもう一度吼えたフランケンカウはおに子目指して突進してきた。
「うわぁッ!」
「なっっ!?」
僕はその瞬間、自分が見た光景が信じられなかった。
なんと、今まで余裕とは行かないまでも安定して敵の足を止めていたおに子が吹き飛ばされたのだ。
直撃を食らったわけではなく、しっかり盾で防ぐ事は出来たようで、HPの減りはそんなに深刻では無い。
しかしホッとするのも束の間、そんな悠長に構えている場合では無かった。
おに子を弾き飛ばしてもフランケンカウの突進(暴走?)は止まらない。
おに子の後方に位置していた僕のまさに目の前へと迫ってきていたのだ。
回避はもう間に合いそうに無いと、なんとか【軟体】で凌ぐべく突進しつつ振り回す大きな斧角を避けて当たるように体当たり攻撃を繰り出す。
「よし、狙い通り・・・ッ!?」
狙った通りに斧角を掻い潜り、頭を振り回すフランケンカウの横っ面に体当たりをする事に成功したのはいい。その勢いのまま弾き飛ばされたのは想定してはいなかったもののラッキーだった。
しかし、なぜか2割ほどダメージを貰っていたのだ。
なぜダメージを貰ってしまったかの謎解きは一旦置いておいて、警戒すべくフランケンカウを見る。
フランケンカウは突進の勢いを落とさず、更に進路上にあった2m四方程も有りそうな岩に激突、粉砕しながら進み、決戦場の端で漸く止まると、またもこちらに狙いを定めて突進してきた。
「ヒャァッハッハッハァッ!さっきまでの勢いはどうしたぁっ!」
「ぐぬぬ」
フランケンカウの突進に攻めあぐねて数分、状況は良くは無い。寧ろ悪い。
トロボーンに挑発されようがぐぬぬしか台詞が出て来ない。
暴走するフランケンカウの足を止めようとおに子が果敢に飛び出すが、そのたびに吹き飛ばされている。濃縮ポーションももう何個か使ってしまったほどだ。
しかし、そのおかげで見えてきたところがある。
トロボーンが針を頭に刺し、体に纏ったあの禍々しいオーラだが、あれに触れるか攻撃されるかするとHP割合ダメージを食らうようだ。
おに子が吹っ飛ばされるたびに食らうダメージは2割程。僕が吹き飛ばされたときも2割ダメージだっのだ。
いや、もしかすると攻撃的接触が有った時だけの効果かもしれない。じゃないと近寄っただけでダメージとか鬼畜過ぎる。
それと、あの状態の突進には装備もスキルも無視した吹っ飛ばし効果が有るんだろう。
パワーアップする前はおに子が止められていたし。
ヘンリーのシャドウバインドも効果が見られない。闇属性の耐性が強化されているのかもしれない。
フィリスのバインドウィップも効かない。すれ違いざまに当てることが出来て無いし、そもそもフランケンカウが大きすぎて鞭を撒きつけられないのだ。
そんな状況の中で、決戦場中を縦横無尽に走り回るフランケンカウを、どうにか捕らえてダメージを重ねて早急に倒さねばならない。
何故かって?
それは、フランケンカウのHPが、フィリスのライトボールのダメージでも追いつかないくらいの速度で回復してきているからだ。
う~んどうしよう?[(;・∀・)]




