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016 3日目:プチスライムのマリーさん

「ぶっ」

 市場街も過ぎ、もうすぐモンスターギルドという所で何かにぶつかった。

「なんだ~?一体・・・。」

 目の前には鱗に覆われた足。恐る恐るに視線を上に上げてゆくとリザードマン(?)な人が僕の方を覗き込んでいる。いくらアニメ調なグラフィックとはいえ、至近距離で爬虫類顔を見るのはちょっと怖い。初日に見たリザードマンとはどこか違うような気がするがなんだろう?

「ぶつかってすいません・・・です・・・。」

一応謝ってみたものの僕を覗くその表情に全く変化は見られない。

「し、失礼します~。」

既に目の前まで来ていた目的地であるモンスターギルドに向かってそろそろと移動し、あとちょっとで入り口ってところでいきなり頭を掴まれたっ!

「ちょっとコッチに来てもらおうか。」

ようやく聞き取れるくらいの低い声でそう言うと僕を掴んだままモンスターハウスの区画へ歩き出すリザードマン。

「へ~るぷみ~~~~~っ!」

 僕の悲鳴に周りのプレイヤーがこっちに視線を向けるも、一向に気にしない様子のリザードマン。一体どこに連れてかれるんだーーーッ?!




 モンスターハウスの区画に入り込んでしばらく。何も出来ないで掴まれるがまま連れてかれるがままの僕の目に、しゃがみこんで円陣組んでいるプレイヤーの集団が見えてきた。あそこでボコられるんだろうか?gkbr

 集団の前まで来たところでリザードマンが僕をポイッと放り投げて解放してくれた。

 円陣組んでしゃがんでいる集団は、ゴブリン・竜人・人魚(と思われる)・フェアリーと、僕をここまで連れてきたリザードマンも含めて多種多様な種族の集まりだ。

 僕がぺちょっと着地した音に気付いてか僕に背中を見せていた竜人がコッチを振り向いた。

「・・・連れてきた。」

「おーお疲れさん。おいユミル、マリー呼び戻して来いよ。」

「あいよー。」

 竜人がフェアリーに向かってそう言うと、フェアリーは返事をした後動かなくなった。

 ゴブリンと人魚の人はこっちをチラ見しつつも何かをしている。

 何をしているんだろう?と気になって覗いてみると、なんと真ん中にはあのピンクのプチスライムさんがいて、あろう事かそのピンクスライムさんに向かってゴブリンは棍棒で、人魚は槍の石突で、竜人は剣の腹でベシベシと叩いていた!

「ななな、何してるんですか!?」

「ああこれか?スキル上げ。」

 こともなげに答える竜人のお兄さん。

「スキル上げって・・・、大丈夫なんですか?そこのスライムさん。」

「ああ、コイツ今スリープモードで中身は現実に戻ってんのよ。その間だけの約束でスキル上げさせてもらってんだ。んで、そこのフェアリー、ユミルってんだが、マリーと現実での知り合いでな。今お前が来た事を戻って連絡を入れている筈だ。」

 なるほど、確かにフェアリーの(ユミルさん)はピクリとも動かない。

「ん?僕が来るのを待ってたみたいに聞こえたんですけど。」

「その通りだ。お前を見かけたら連れて来るにそこのプチスライムのマリーからお願いされてたんだ。」

 そんなマリーさんの方を見ると、相変わらずゴブリン、人魚、竜人からフルボッコにされている。

 数分経過し、フェアリーのユミルさんが再起動したようだ。そしてそれからあまり間をおかずにプチスライムのマリーさんが再起動した。

「!?イタッ!痛いって!ちょっ!やめーーーいッ!」

 再起動後も構わずボコってたゴブリンと人魚が「わーい♪」と言いながらマリーさんに追いかけられている。楽しそうですネ。

 諦めたのかマリーさんが戻ってきた。「あいつらときたら毎っ回毎回ほんとにもーッ!」とぶちぶち言っている。毎度の事らしい。

「改めて初めましてこんにちわ、プチスライムのマリーよ。」

「初めまして、プチスライムのシロっちです。マリーさんは前に何度か見かけましたよ。いつも爆走してる場面でしたけど。」

「えっ?あ~そっかー。走ってると進行方向以外良く見えないのよね~あははは~。」

「いえいえ、すれ違ったとかじゃなく、結構離れたところからでしたのでこっちに気付かなくても不思議じゃないですよ。初めて街で見かけたときは自分以外のプチスライムに興味を持って一回追いかけようとしたんですけど、簡単にぶっちぎられちゃいましたよ。どうやったらあんなスピード出るんですか?」

「あー、それはゴメンね~?スピードの方はちょっとした裏技があってね・・・」

「おーい、俺らは一旦解散するぞー?」

竜人さんとリザードマンさんフェアリーさんに加え、いつの間にやら戻ってきたゴブリンと人魚が揃ってこちらを見ている中、竜人さんが声を掛けてきた。

「うん、お疲れ様ー!又今度遊ぼーね~。」

 手を振って去ってゆく5人に向かい、こちらからも手を振るマリーさん。

 ・・・ん?()??

 なんと、マリーさんの体(頭?)の上にピンク色をした手首から先が出現し、ばいばいと手が揺れていた!!

 僕が呆然と揺れる手を見ていると、それに気付いたマリーさんが解説をしてくれた。

「これ?これは【軟体】の効果だよー?レベルが上がればより複雑な形を作る事が出来るようになるのよ。」

 と言うと、パーだった手がグーになりチョキになり、今度は球体、四角錘、立方体、終いには美術室とかによく有る胸像の形にまでなってしまった。頭にはピンクのリボンが付いたままなのでとってもシュールだ。

「すごいですね~。一体何レベルでその位変化させる事が出来るようになったんですか?」

「何レベルからかは忘れたなー。いつの間にかできるようになってたし。シロ君・・・あ、シロっちだからシロ君でいいよね?シロ君は【軟体】のレベルはいくつ?」

「それで構いませんよ。僕の【軟体】のレベルは今は14です。」

「14か~。ちなみに私はさっき一つ上がって43よ。」

「43!?なんですかそのレベルはっっ!?」

「へへ~、びっくりした?びっくりした?」

「そりゃ驚きますよ。もう一回言いますけどなんなんですかそのレベルは。まだ正式サービス開始から4日しか経ってませんよ?一体どうやって・・・」

と言ってから気付いた。

「もしかしてさっきボコられてたのが【軟体】のレベル上げになってたんですか・・・?」

「そういう事!敵に攻撃されるより、街中で誰かに攻撃当ててもらった方が遥かにレベル上げの効率がいいのよ。フィールドじゃ万が一があるしね。」

「あ~なるほど。僕も初日に市場街行ったときプレイヤーにもみくちゃにされて【軟体】のレベル上がったっけ・・・。」

「う~ん、その手も有りだけど今はほとんどのプレイヤーが次の街まで進んでるからもう使えないわね。」

「次の街ですかー。どんな所です?」

「ムツ平原から南に2マップ進んだ所でね、鉱山都市トゥーリって言って、隣接するタリナス鉱山から採掘する鉱物資源を目当てに出来た都市って設定だったかな。」

「うわ~もう皆そんな先まで進んでるんですか!」

「まぁこのムツ平原のボス倒すくらいなら大体のプレイヤーはレベル10になる前に終わらせて次のフィールドに進んでるからね~。私とシロ君はスライムだから倍位のレベルにしないと能力値的に他プレイヤーに並ばないから大変なんだけどね。って、やばっっ!」

「どうしたんですか?マリーさん。」

「もう正午回っちゃってるよー!お昼だから落ちないと!」

「マジですか!?僕も昼ご飯作らなきゃなので落ちますね!」

「ちょっと待って!フレンド登録しましょっ。」

「はい、ちょっと待ってくださいね・・・・・・送りました!」

「うん、登録完了だねっ。それじゃまたお話しようね!バイバーイ♪」

 そう言ってマリーさんはログアウトして行った。僕も部活で疲れているだろう妹にご飯を作ってやる為にログアウトした。






 ハッ!クエスト報告忘れてたっ!!!

マリーさんとその仲間たち


マリー(♀):プチスライム

ジュノ(♂):竜人

ユミル(♀):フェアリー

ガノン(♂):ジェネラルリザード←一回進化済み

シーク(♂):人魚

ガブ(♂):ゴブリン

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