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012 2日目:NPCクエ三昧②

チートの一端が判明します。


7/8猫派発言を削除

 残っているクエストは『薪を~』と『もっと糸が~』の2件。依頼主が近い薪のクエストをやろう。

 依頼人のコボルドがいる場所は職人街工房エリア入り口なので目と鼻の先だった。


 依頼人であるコボルドのボルク君の前に到着した。他で見かけたコボルド系プレイヤーと比べると一回りか小さい。顔を見ると犬種がヨークシャーテリアである事が分かる。ヨークシャーテリアならばその小さな体は納得だな。


「おおぉ、クエストを受けてくれたであるか!とても助かるのである!」

 小さな見た目通り高めの子供っぽい声だけど変な喋り方だな。

「それで、薪一束ってどこで手に入るの?」

「うむ、薪が手に入る場所であるが、ムツ平原のセーフティゾーンから出てすぐ東に向かうと枯れ木がある。その枯れ木の枝に攻撃をすれば落ちてくるであるぞ。攻撃は物理でも魔法でもなんでもいいのである。」

 どうやらクロっちに再会した時にゴブリンに追い詰められた場所にある枯れ木の事のようだ。

「分かりました。…ちなみにあなたは自分では取りに行かないんですか?」

「ボルクと呼んでよいであるぞ。自分で取りに行っても枝が高すぎて手が届かないのである・・・。魔法も使えないであるし・・・。」

 ちょっと失礼な質問をしたかなと思ったけど丁寧に理由を話してくれた。と同時にしょんぼりしている・・・か、可愛いっ。

「う、うん。取ってきてあげるからそんなに落ち込まないでっ。」

「ううぅ、お願いするのである・・・。ちなみに薪は10個手に入れれば勝手に薪の束に変わるのである。では、宜しくお願いするのである!」


 宜しくお願いされちゃったので頑張ろうと思う。うーん、フィールドには出ない予定だったんだけどな・・・。まぁ、まだ時間にも余裕あるし少しくらいならいいかな?

 ついでにフィリスの所に寄って今度は糸がいくつ必要なのか確認してから行こう。


「こんにちわー、フィリス。」

「なんでいきなり呼び捨てなのよっ。・・・まぁクエストも受けてくれるみたいだし特別に許してあげるわ。」

「うん、ありがとう。それで、今度はどのくらい必要なの?」

「今回はねぇ・・・20個よ。」

「20個か。流石に今回は手持ちじゃ間に合わないか。でも10個くらいなら時間的にも大丈夫だろうから今日中に持ってこれるかな?」

「本当?!それならもし今日中に持って来てくれたらいい事教えてあげるわよ!」

「おーそれは楽しみだっ。それじゃ行ってくるねー。」

「気を付けて行って来てね!」

 フィリスは手をブンブンと振りながら笑顔で見送ってくれた。可愛い子に笑顔で見送ってもらえるのって嬉しいなぁ…。例えゲームであったとしてもっ。


 二つの以来を達成すべく、ムツ平原へとやってきた。

 入り口から眺めてみると薪が取れそうな枯れ木を東の奥に見つけることが出来た。ちょっと距離があるけどスキルレベルが順調に上昇している移動系スキルのおかげで時間はそう取られる事も無いだろう。


 広いセーフティゾーンを利用して壁伝いに移動し、敵に遭遇することなく枯れ木にまで移動することが出来たのだが。

 手が届かなかったボルクより更に小さい自分ではもちろん手が届くはずも無く・・・。とりあえず登れないか探ってみるか。

 枯れ木に近付いて表面を見てみると、現実の木と同じく凹凸がある。試しに【軟体】で体を木の表面の凹凸に合わせて変化させ、少しずつ体を持ち上げてみたがダメだった。少しだけなら踏ん張れるけどすぐにズリズリと落ちてしまった。感覚的には手の握力が足りなくてグリップできない感じだった。

 しょうがない、石投げよう。困った時の石頼みである。

 幸いダメージが1でも攻撃が当たりさえすれば枝を取る事が出来るらしく、石を【投擲】すると簡単に枝を貫通して枝が落ちてくる。数秒待てば枝も再生される為どんどん石を投げて薪を手に入れて薪の束にする。

 なんの問題も無く薪の束をゲット出来た事だし、糸を足りない分狩らないとな。

 と、街の入り口方向を向いた所、入り口からまっすぐ南方面に向けて爆走するピンクの丸い物体が目に入った。初めて見かけた時と同じく、ものすごい速さである。

 眺めていると進路上にゴブリンが数匹群れているのを発見。どうするのかなー?とそのまま見ていたら、ゴブリンの一体を体当たり一発で吹き飛ばし、何事も無かったかのように走り去ってしまった。

 体当たりされたゴブリンは動かない。どうやら一発で倒されたようだ。

「いや、体当たり一発で倒せるとかどんだけレベル高いのよっ?!」

 思わず声に出して突っ込みを入れてしまった。


 気を取り直して糸をゲットすべくグリーンワームを捜しながら草地方向へ移動する。

 散発的にエンカウントするゴブリン、ミニスライム、グリーンワームはもはやタイマンなら恐るるに足りないようだ。まぁ全てLv1だったんだけどね。


 草地に到着した。マップを見てみると、採取ポイントは変わらず表示されているんだけど、配置がガラリと変わっていた。

 なるほど、ケットシーのフェリシーが言っていたのはこの事か。確かにこれじゃ他のプレイヤーはかなり面倒だろうけど、しかし僕のマップには確かに採取場所に○印が付いている。早速全ての採取ポイントを巡って薬草を拾い捲る。◎の所では幸運にも上質な薬草を2個手に入れることが出来た。

 薬草も大量にゲットしている事だしHPを回復しておこうと薬草を一個使用したらHPは10しか回復しなかった。

 はて??どゆこと??

 改めて薬草の説明を見てみる。



【薬草:素材】HP+10

 いろんなフィールドでランダムに採取可能な草。

 ポーションの材料となるがそのまま使ってもHP10回復する。



 アイテム説明でも回復量は10である。

 しかしこの前採取ポイントを溶かした時はダメージ20が全快したんだ、これはオカシイ。

 試しに灰色になった○印の採取ポイントに移動し、ポイント上の草自体を溶かしてみた。

 結果まだ10以上残っていたダメージはまたもや全快してしまった。

 この結果から導き出される答えは・・・もしかして・・・。


 僕の推測が正しいか確認する為にもまずはある程度ダメージを負う必要がある。とりあえずゴブリンを探し出してわざと30ほどダメージを受けた上で倒した。そして検証である。

 さて、もし僕の考えた通りだとしたら、この【溶かす】ってスキル・・・、隠しチートスキルじゃね?


 ①まず薬草を出します。→②薬草を体内に取り込みます。→③おもむろに【溶かす】発動!→④HP全快したぜキャッホーイ!


 うん、薬草を【溶かす】で取り込んだら30減ってたHPが全快しちゃった。

 溶かしていた薬草の状態をじっくり観察していたんだけど、溶かし始めると薬草が徐々に崩れ始め、HPが回復する直前に濃縮された液状の物体に変化していた。


 ちょっとここでTamersOnlineにおけるアイテムのシステムを詳しく説明しよう。

 TamersOnlineでは、アイテムは割と簡単に作る事が出来る。いや、この言い方だと語弊があるか。

 簡単に言うと、あるアイテムを何かしらの方法を使ってある程度の形にまで変化させ、システムが認めると勝手にその形に一番近いアイテムへと変化するのだ。

 例を挙げると、先程のクエストで打ち落とした枝が薪へと変化したとか、例えば木材を刃物を使って細長く削ればウッドステッキに。そのウッドステッキの先端を削って尖らせればウッドスピアになるといった具合だ。

 ちなみに、ブロンズナイフを分解し、ウッドステッキの先端に取り付け固定すればブロンズスピアの完成である。

 もちろん武器生産職でないプレイヤーが独自に武器を作ったところで本職の作った同じ武器に比べて攻撃力は及ばないが、劣化版であろうと形を作るだけ(・・)ならできるのである。


 そんな訳で、結論としては僕の中に取り込んだ薬草を溶かした結果、溶かされ濃縮された液体がポーションとシステムに判断され、その効果でHPが薬草以上に回復したと思われる。


 なんというプチチート。欠点としては溶かすを使って回復の効果が現れるまでの僅かな時間動く事が出来ない為、戦闘中の追い詰められた状況だと回復する前にトドメをさされそうなところか。

 ・・・道具屋で入れ物買って売却してみよっと♪


 思わぬ【溶かす】の有用性を発見し、テンションの上がった僕は必要分の糸を確保し、立ち塞がる敵を撃破しつつ街へ戻った。


 そういえば、一瞬マップに緑色の印が見えたような・・・?気のせいか。

プレイヤー名 シロっち

種族【プチスライム】/サブ職業 無し

レベル10→12 ランクH (QP 14/20)

核吸収強化(5/500)

HP62/62 MP29/29

所持金 1129G

攻撃力 13

防御力 19

力 11→13

体力 13→15(+10)

知力 11→13

すばやさ 24→28(+9→12)

器用さ 12→14(+5)

魔力 7→8

運 13→15

ボーナスポイント 34

装備 武器:ナシ サブ:ナシ 装飾品1:ナシ 装飾品2:ナシ

特殊能力

アクションスキル

【溶かす】Lv11

【体当たり】Lv13


パッシブスキル

【軟体】Lv14


習得スキル

アクティブスキル

【ダッシュ】Lv14

【投擲】Lv10


パッシブスキル

【スピードアップ】Lv16

【アイテム入手率UP】Lv8

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