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聖刻のストレングス  作者: blizzard
《ニ年前〜Two Years Ago〜》
6/8

No.005

今回で取り敢えず、二年前の地球は終わりです!

「神崎先輩…」


そこにいたのは後輩の閃光寺せんこうんじ 龍夜りゅうやだった。


「あまり、大きな声を出すな魔物がよってくるぞ」


俺が周りを警戒しながら忠告する。しかし、龍夜は何の緊張感もない素振りだ。その様子からして俺は察する。


──閃光寺は以前からその名前からして幾つもの噂がたてられていた。そのうちでも最も有力なのが【独眼竜】伊達 政宗の末裔だと言うことをしばしば耳にしたことがある。生き残ってると言う事はやはり噂は本当なのか。


嘘か本当かわからない疑問に思考を巡らせていると龍夜は口を開く。


「アイアンウルフの事ですよね魔物って」


魔物に名前がついていたなどと言う記憶は皆無だったので、疑問に思い問いかける。すると、龍夜は少し嫌悪の表情を浮かべて言った。


「先ほど、俺の目の前にふと男が現れて「これはゲームだ。お前もそのうち力に目覚めるだろう【アイアンウルフ】を倒せば」とだけ言い残し俺の大切なものを奪って消えて行きました……俺はもう目覚めているというのに……」


しりすぼみに口ごもりそこで言葉は途切れ最後の部分だけは聞き取れなかった。


──しかしこの話の男については不可解な事ばかりだ。この男は何を企み何故こんな事をしたのか。そして美香を……っ!


ふと龍夜の〝俺の大切なもの〟と〝嫌悪の表情〟からきっと俺のように大切なひとを失ったのだろう。しかしは俺は口に出さず考えだけにとどめる。


俺は唇を噛みしめ喉の奥からこみ上げる憎しみを必死に堪える。そして冷静さを取り戻すと龍夜の方へ向き直った。


「多分、このままだと人は絶滅する。そして、生き延びたものも食料の枯渇によって死ぬ。どちらにしろ俺たちに残された時間は少ない。とりあえず一人でも多くの人間と接触するんだ」


龍夜は軽く頷いた。俺たちは立ち上がり学校を後にした。


外をでた俺たちは驚く。空を見上げるといつも目にしていた太陽、そして青空が広がっていた。しかし、青空のちょうど視界の中央には壮大な魔法陣とも呼ぶべきものがある。それだけを確認し南方向へ歩き出す。


「行こう、着実に世界は悪い方向に向かってる。時間がない」


──南方向にはこの街を見渡せる丘があるそこに行けば何かわかるかもしれない。


丘を目指し瓦礫となった住宅街を進み住宅の終わりまでもう少しというところで目の前に地からまっすぐ天に向かって俺たちのいる地域を囲むように透き通った青の障壁に阻まれる。


立ち止まると右にいた龍夜はその壁を越えようと足を踏み出す。俺は一瞬よからぬ寒気が背筋を走り止めようとしたが遅かった。


青の障壁を通り越した身体半分が跡形もなく消滅したのだ。


「うあぁぁぁぁぁ」


半分になった口は怪鳥のような叫び声をあげる。そして半身は青い壁に目掛けて傾いた。


反射的に俺は龍夜の手を引く。そして無残に残った顔の目の瞳孔は大きく開かれている。


「龍夜!おいしっかりしろ」


何回も耳元で大きな声を出すが返事はない。それから数分が過ぎ俺は口に表せないような悲しみと憎しみの混じった清らかな微笑みでそっと龍夜の身体を地面に置く。


──どれだけの奴の命を奪えば気が済むんだ


心でそうつぶやく。すると声が帰ってくる。


「お前の感情など所詮は偽善、いざとなれば自分が全てだ。そう、人間はそうで無ければいけない」


俺はその聞き覚えのある声に憎しみの表情へと一変さ顔をあげる。


「お前は誰だ? なぜこんな事をする? と聞きたいのか? いいだろう特別に教えてやる。私たちは未来から来た使者だ」


俺は絶句した。今、目の前で聞かされた事が理解できない。男は俺の驚愕の表情に不敵な笑みを浮かべて話を続ける。


「そして、私たちは全く同じ宇宙、そして地球が幾つかの次元で複数存在する事を確認した。そして君たちを使い実験に実験を重ね、遂に人間の進化の果てに辿り着いた。それが【ストレングス】。この能力は簡単に言えば人の意志が現実上書きする。その能力は人それぞれに多様性があるというところまで判明している」


「じゃあなんで! もう俺たちを殺す理由なんて無いだろ!」


「いや充分にある。君たちを使いストレングスの力をより深く追求、もう一つはゲームだよ。われわれはこのストレングスがどれほどの力を見せてくれるか遊びながら実験してるのさ。この壁もそのゲームの一つだ。まぁ、せいぜい生き延びることだな」


嘲笑うようにこちらを見て吐き捨てた言葉は、俺の心に突き刺さる。そう言い残すと男は風のように消えて行った。そして、俺は自分の愚かさに気がつかされた。


──俺は…俺は今までで人の命の尊さとか、普通に生活できることの幸せさとか何も考えてなかった。むしろ俺は自分が良ければそれでいいて思ってるはずだった。……でも今は違う、美香と出会って、大切なものを失って気がついた。俺は守りたいものがある。守るんだ! そして、人の命をもて遊ぶそうな奴を殺す


と、この世界に誓う。


「神崎先輩」


そんなこともつかの間。まさか自分が再び聞くことになるとは思わなかった声に目を見開いた。


「龍夜!何で?」


「消えろ、お前に用はない。右眼に宿いし代々受け継がれしストレングスよ、その名は独眼竜その刀は【竜月下】」


龍夜はまるで別人のような素振りで、ストレングスを詠唱する。すると、龍夜の右眼から魔方陣が展開され閃光を放つと刀身が漆黒に輝く刀が現れた。俺は思考回路が状況に追いつかないまま、俺は呆然と立ち尽くしている。


「殺す前に教えてやろう。俺は伊達政宗の末裔だ先祖、政宗の独眼竜はストレングスを隠すためにつけていた天然痘で失ったのは全くの嘘だ。これで理解したろう。お前は邪魔だ!──霧に隠れし月夜、その天下を轟かせし静寂の一撃【朧月】」


龍夜は右手の刀を一度真横に振り払う。次に腰を低くすると、漆黒の刀身が朧に蒼い光を纏う。次の瞬間、ためを一気に真横に振り払う。


──龍夜にできるなら俺だって


俺は脳内に蒼い障壁を強くイメージする。そして、手を前にかざす。すると、とても不安定だが障壁が現れ龍夜の一撃を受け止める。


しかし、糸も簡単に打ち壊され反動で真後ろに飛ばされる。俺は飛ばされ間際に見た光景それは俺が蒼い障壁にぶつかる瞬間だった。俺は苦しみという感覚を感じる前に跡形もなくその場から消えた。


その場に静寂が訪れ龍夜は不敵な笑みを浮かべた。















御愛読ありがとうございました!

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