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聖刻のストレングス  作者: blizzard
《ニ年前〜Two Years Ago〜》
5/8

No.004

眩む視界から覚醒し、体を起こす。しかし、右肩から疼くような痛みが走り思うように動けない。何とか右肩に手を当てて立ち上がると、俺は今橋の真上に立っていた。どうやら、車は跡形もなく消し飛んだが無事に向こう岸に渡れたらしい。すかさず振り向くと……


「おい、嘘だろ」


倒したを思っていたアイアンゴーレムは右目の光を失っただけで、まだ弱っている様子はなく、伺う表情からは怒りを感じられる。

そして、ゴーレムは右手を振り上げすかさず俺に振り落とした。俺は左に回避しようと体制を低くする。しかし……


「うっ……」


右肩に稲妻のような痛みがはしり、立膝をつく。今度こそ終わったと俺は両目をつぶる。


「太陽の刻印を刻みし右腕よ、汝、我に力を分け与えたまえ。ここに現れしは燃え尽きること無き【紅天プロミネンスバックラー】」


謎の声によってアイアンゴーレムの前にマグマの薄い楕円形の壁が実体化する。


アイアンゴーレムの鉄槌とそれは物凄い勢いで衝突し、火花を散らす。そして押し勝ったのはそのマグマの壁だった。アイアンゴーレムは後ろへ仰け反る。俺は何とか助かり、ひたすら声の主を探していた。


「【破邪顕正・黒点】」


すかさず、謎の声が詠唱する。その刹那、黒い炎の柱がアイアンゴーレムを貫いた。とうとう、アイアンゴーレムは断末魔の叫びをあげて地に体を打ち付け地面が揺れる。俺は助かったが、声の主は結局、現れないままに終わったのだった。


一息つくと、俺はもう目の前に見えていた、自分の街へと足を運んだ。


*****


たどり着いた、自分の街も相変わらず瓦礫の地とかし謎の魔物が徘徊しては人間を食らっている。


今、俺が立っているのは家の前。俺は急ぐ気持ちでドアを引くと鍵はかかっていなく。すんなりと開いた。嫌な予感がした、俺は靴を履いたまま廊下を走り抜けリビングへと駆ける。ドアを蹴り飛ばす勢いで開けると、カーテンは閉じられたままの薄暗い空間は異様な空気に包まれていた。俺は恐る恐る、一歩、一歩を踏み出す。そして、茶の間の方から少し飛び出している尖った物体が目にはいる。


それは、血のついた包丁だった。


「母さん!!」


俺は思いっきり半開きだった茶の間の扉を開ける。しかし、そこには誰もいなかった。俺はその場にあった包丁を拾い上げる。


それから、キッチン、風呂、二回の寝室、自分の部屋、クローゼットを調べたがものけのからだった。俺は心のつっかかった想いをしまい。家をあとにした。



続いて向かったのは徒歩五分の学校だった。

学校は所々破損はしているがしっかりと原型をとどめていた。


俺は中へと足を進める。中はまさに真紅の空のせいで不気味な真夜中の学校。まさにホラーゲームを体験している感覚に囚われる。一番近くにあった教室を覗くと。俺は再びに憎しみの感情とあまりにも残酷な風景に嗚咽感に襲われる。


そう、なかはやはり魔物に食い尽くされた後だった。生徒、一人、一人の体には制服が破られ骨が丸出しの足や手が露出し、床には幾つもの血痕が散らばっている。


この教室でだいたいの他の教室の様子も理解できたはずなのに、俺は足を止めなかった。


一人でも生存者に会いたい。俺はいつの間にか恐怖に怯え人の温もりを欲していた。その一縷の望みをかけて他の教室を見たが結果はすべて同じだった。いくら廊下を歩いても聞こえるのは自分の足跡だけだった。そして、誰かと叫んでも帰ってくるのは沈黙。俺は絶望の味というものを味わった。


しかし、廊下を歩いていると天井から液体が零れる音がする。そして前方の天井みると穴がありどうやらそこから垂れているようだった。目の前まで行き手を前に出すと一滴の雫が手に付着する。その雫を不気味な太陽に照らすと真っ赤な血だった。息を呑み上を見上げると──


血にまみれた上半身だけの人がどさっと音を立てて目の前に落ちる。


「うわぁァァ!」


そのあまりにもショックな出来事に足が脚がすくみ後方に尻を着く。俺はこの一瞬にどうする事も出来ないまま目を見開く。


結局どこへ行っても異形な魔物達が徘徊し人間を喰らっていると言う先ほどまで目にしてきた光景となんら代わりは無かった。俺はこの世界の何処にも数時間前までの日常が無いことを身を持って知らしめされた。


俺は途轍もない喪失感を味わった。そして現実逃避をする。目を瞑れば自分の部屋にいるのでは無いか? と。しかしこの非現実は俺に突きつけられたまま、何も変わらない。


自分に突きつけられたのは人間ひとりではほぼ不可能と断言していい、過酷な壁だった。


俺は気持ちの整理がつかずうつ伏せていると後ろの奥ので魔物では無い足音がする。


とうの前に体力的にも精神的にも限界を超えていたが望みにかけて俺は最後の気力を振り絞ってその方に向かうと生存者を始めてこの目で直接確認する。


そこにいたのは一人の後輩だった。


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