9時間目【七夕】
今日7月7日は、七夕だ。
七夕というのは、一年に一度この夜に牽牛と織女の二つの星が、天の川で会うという中国の伝説に基づいたもの。
そして、願い事を書いた短冊をささ竹にかざるのが、風習である。
年に一度の特別な日に、彦星(牽牛)と織り姫(織女)は、どんなお話をするんだろう?
「今日って、七夕だよね」
「そうだね」
翔太と雫は、静まり返っている音楽室にいた。
二人以外は、誰もいない。
「彦星と織り姫が、年に一度だけ会える日…」
「かわいそうだよね…」
「好きな人と年に一度しか会えないのは、辛いよ。僕だったら、辛すぎて泣いちゃうかも(;_;)」
「私も…だって、大切な人に会えないし…」
外は薄暗く、雨が降っていた。グラウンドには水溜まりができ、誰も遊んでいる人はいない。
「もし…」
「…何?翔太君」
「もし、僕と雫ちゃんが、彦星と織り姫みたいになったら、どうしよう?」
「…」
「雫ちゃんは、幼なじみだし…友達だし…会えなかったら、淋しいよ」
「私も…」
「えっ?」
「翔太君に、毎日会えなかったら淋しいよ」
ザーッと、雨音しか聞こえない音楽室は、静寂。
二人は、俯いたまま、顔を上げない…。
「あえるよ…毎日あえるよ…」
「翔太君…涙が…」
「僕が雫ちゃんの手を放さないから、離れ離れにならないよ!(>_<)」
「…」
「大切な人は、僕が守るんだ!僕一人の力で、守るんだ!(>□<;)!!」
「翔太君、落ち着いて」
泣き声だけが、静かな音楽室に聞こえたーーー
「わあっ(@□@;)!!」
翔太は、目を覚ました。
「…さっきの、夢かな?」
翔太は賺さず、カレンダーを見た。
7月7日ーーー
「えっ( ̄^ ̄)じゃあ、リコーダーは…」
翔太は賺さず、ランドセルを取る。
リコーダー有りーーー
「…本当だったのかな?でも、夢かもしれないし…。どっちなんだー!神様でも仏様でもどっちでもいいから、教えてください!」
今日は七夕。彦星と織り姫が年に一度だけ会える、特別な日。